破産申し立ての弁護士と破産管財人は別:役割と手続きのポイントを解説

破産・倒産手続き

企業が破産を申し立てる際、弁護士に依頼するのが一般的ですが、破産手続きには「破産申し立ての弁護士」と「破産管財人」という2つの異なる役割が存在します。この2者が別であることを知らずに手続きを進めた私は、この驚くべき事実を後から知りました。

この記事では、破産申し立ての弁護士と破産管財人の違い、必要な書類、実際の流れ、そして経営者が直面する自己破産のポイントを、自身の経験をもとに詳しく解説します。破産手続きをスムーズに進めるための実務的な知識を提供します。

1. 破産申し立てに必要な書類と弁護士の役割

企業が破産を申し立てる際、まず依頼する弁護士は、裁判所への破産申し立て手続きを代行します。このプロセスでは、裁判所が破産開始決定を下すために必要な書類を準備することが求められます。私の経験では、以下のような書類が必要でした:

  • 会社の財務状況を示す書類: 決算書、貸借対照表、損益計算書など、会社の経営状態を証明するもの。
  • 資産に関する資料: 売掛金、不動産、車両、機械などの資産リスト。
  • 負債に関する資料: 借入金、未払金、買掛金など、債務の詳細を示す書類。

これらの書類は、詳細かつ完璧である必要はなく、裁判所が破産開始決定を判断できる程度の情報があれば十分です。ただし、書類に不備があると手続きが遅れる可能性があるため、弁護士と密に連携して正確なデータを準備することが重要です。

破産管財人 弁護士

書類準備のポイント

  • 簡潔かつ明確に: 裁判所が会社の財務状況を把握できるよう、要点を絞った書類を用意。
  • 事前整理: 破産申し立てを検討する段階で、財務書類や資産・負債のリストを整理しておくとスムーズ。
  • 弁護士のアドバイス: 書類の形式や必要な項目は弁護士が指導してくれるので、指示に従って準備を進める。

2. 破産管財人とは?申し立て弁護士との違い

破産申し立て後、裁判所が破産開始決定を下すと、「破産管財人」が選定されます。破産管財人は、破産手続きを管理・進行する役割を担う弁護士で、申し立てを依頼した弁護士とは別の人物です。この点は、私も当初知らず、驚いたポイントでした。

破産管財人の役割

  • 破産財団の管理: 会社の資産(破産財団)を調査し、債権者に公平に分配する。
  • 債務の整理: 未払い賃金や債務の優先順位を判断し、支払い手続きを進める。
  • 裁判所との連携: 破産手続きの進捗を裁判所に報告し、法的プロセスを監督。

破産管財人は裁判所が選任するため、企業側が自由に選ぶことはできません。私の場合、破産申し立てを依頼した弁護士とは全く異なる弁護士が管財人に選ばれ、以降は管財人とのやり取りが中心となりました。

申し立て弁護士と破産管財人の違い

  • 申し立て弁護士: 破産申し立ての準備と裁判所への提出を担当。企業側の代理人として動く。
  • 破産管財人: 裁判所が選任し、破産手続き全体を管理。債権者や裁判所の利益を優先。
  • 関与のタイミング: 申し立て弁護士は手続き開始前、管財人は開始決定後が主な活動時期。

この違いを理解しておくことで、誰とどのタイミングで連絡を取るべきかが明確になり、戸惑わなくて済みます。

3. 破産手続きの流れ:私の経験から

私の場合、破産申し立てから破産開始決定までは比較的スムーズに進みました。弁護士に書類を提出後、裁判所が破産開始決定を下し、破産管財人が選定されました。

そこからは、管財人からの指示に従い、資産や負債の詳細な確認、未払い賃金の計算(前回の記事参照)などを行いました。

破産手続きの主なステップ

  1. 弁護士への相談: 破産の必要性を判断し、書類準備を始める。
  2. 書類提出と申し立て: 弁護士が裁判所に破産申し立てを行う。
  3. 破産開始決定: 裁判所が破産を認め、管財人を選任。
  4. 管財人とのやり取り: 資産調査や債務整理を進める。
  5. 債権者への分配: 破産財団から債権者に支払いを実施。
  6. 手続き終了: 破産手続きが完了し、会社は清算される。

この流れを把握しておくことで、どの段階で何が必要か、現在はどのステージに居るのかが明確になります。

破産管財人 弁護士

4. 経営者が直面する自己破産の可能性

破産申し立てを終えた後、申し立てを依頼した弁護士とのやり取りは一旦終了かと思いきや、経営者にはもう一つ大きなハードルが待っています。それは、自己破産です。

特に、金融機関や大口の取引先から連帯保証契約を求められていた場合、経営者個人がその債務を負うことになり、自己破産の手続きが必要になる場合がほとんどでしょう。

私のケースでは、会社の借入金に連帯保証人として署名していたため、破産手続き後に自己破産の検討を迫られました。

自己破産の手続きは、企業破産とは異なる書類やプロセスが必要で、精神的・時間的な負担も大きいものでした。この詳細については、別の記事で解説予定です。

自己破産のポイント

  • 連帯保証の確認: 会社の借入契約で経営者が連帯保証人になっているか確認する。
  • 弁護士の継続依頼: 企業破産を依頼した弁護士に自己破産も依頼する場合、引き続き連携可能。
  • 個人資産の影響: 自己破産では個人資産(自宅など)が処分対象になる場合があるため、事前に弁護士と相談を。

5. 破産手続きをスムーズに進めるためのコツ

破産申し立てや管財人とのやり取りを円滑に進めるためには、以下のポイントが役立ちます:

  • 書類の事前準備: 決算書や資産・負債リストを整理し、弁護士に迅速に提供。
  • 役割の理解: 申し立て弁護士と破産管財人の役割の違いを把握し、適切なタイミングで連絡を取る。
  • 管財人との円滑なコミュニケーション: 管財人からの指示に迅速かつ正確に応じる。
  • 自己破産の可能性を視野に: 経営者は連帯保証の有無を早めに確認し、自己破産に備える。
破産管財人 弁護士

6. まとめ:破産申し立てと管財人の役割を理解してスムーズな手続きを

企業破産は、申し立て弁護士と破産管財人という2つの異なる役割が関与する複雑なプロセスです。申し立て弁護士は書類準備と裁判所への提出をサポートし、破産管財人は破産財団の管理と債務整理を担当します。

これらが別々の弁護士であることを理解しておくことで、手続きの混乱を防ぎ、スムーズに進められます。

また、経営者には自己破産の可能性も視野に入れる必要があります。 自己破産の申し立ても同じ弁護士が担当し、管財人も同じ弁護士が担当することが多いようです。

この記事が、破産手続きを検討する経営者や担当者にとって、役割の違いや実務のポイントを理解する一助になれば幸いです。

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