重要なお知らせと免責事項
本記事は、最盛期に売上約19億円、従業員約100人を擁した製造業の元経営者が、自己破産手続きに至る最後の数週間に経験した極めて個人的な回想と感情の記録です。
ここに記す資金の動きは、あくまで当時の弁護士の指示に従った、特殊かつ個別具体的な対応であり、一般的な法的手続きの指南やノウハウを提供するものではありません。
破産手続きを進める際は、必ず公的な窓口を通じて信頼できる専門家(弁護士や司法書士)に相談し、その指示に厳密に従ってください。
はじめに
会社の倒産を決意し破産手続きを始める際、資金の管理は非常にデリケートな問題でした。特に、裁判所に支払う予納金など、手続きに必須の資金を確保するため、銀行預金の動かし方には細心の注意が必要でした。この記事は、私が経営者として経験したその時の記憶と感情を綴ったものです。
破産手続きの準備資金

長年、経営不振に苦しんでいた私は、ついに会社を畳む決意をしました。苦渋の決断でしたが、これ以上傷口を広げても周囲に迷惑をかけるだけだと判断したのです。
しかし、破産手続きを始めるには資金が必要です。弁護士からは「予納金と弁護士費用合わせて約200万円を用意してほしい」と言われました。お金がないから破産するのに、ずいぶん高額の費用がかかると感じたことを思い出します。
では、この資金をどのように準備し、どのように管理したのか?私の記憶をたどって、当時の様子をお話しします。なお、この一連の作業は全て弁護士の指示と指導に基づいて進められたことを強調しておきます。
専門家の指導と薄氷を踏む思い
口座凍結のリスク

破産を申し立てる際、銀行口座の管理は非常に重要な問題だと弁護士から聞かされました。なぜなら、破産手続きが始まると、銀行による口座凍結のリスクが高まるからです。
当時支援をお願いしていたコンサルタントや弁護士からは、メインバンクが破産の兆候を察知すると口座を凍結するかもしれないと聞いていました。そのため、私は細心の注意を払いました。
資金の分散移動
具体的には、メインの銀行口座から、できるだけ優先して仕入れや経費の支払いを行い、普段支払いに使っていた別の口座に少しずつ残高が貯まっていくように資金を移していきました。
この作業は、普段とは異なるイレギュラーな動きになるため、銀行に不審がられないよう細心の注意を払いながら進めました。
時間との勝負
資金の移動は、時間との勝負でした。私は弁護士と密に連絡を取りながら、どの口座にいくら残し、どのタイミングで資金を動かすかを慎重に進めていきました。
普段支払いに使っている口座の残高が急に乏しくなったりすると、銀行から問い合わせが入る可能性があると聞いていたため、数日間に分けて少しずつ資金を動かしていきました。この胸騒ぎは、今でも鮮明に思い出せます。
精神的な重圧
破産手続きは、資金の管理だけでなく、精神的にも大きな負担を伴いました。従業員や長年の取引先に経営破綻を伝えなければならないと考えると、心が張り裂ける思いでした。
また、資金移動や書類準備を短期間で終わらせるプレッシャーは、私を常に追い詰めていました。それでも、手続きを円滑に進めるためには、冷静に一つひとつのタスクをこなすしかありませんでした。必死にやり抜いたというのが、私の正直な感想です。
そしてXデー

破産手続きに必要な資金を確保するため、私は弁護士の指示に従って、凍結リスクの低い口座に資金を集めました。具体的には、過去に融資を受けていない銀行や、取引実績が少ない口座を選びました。
最終的に、営業停止を告知する「Xデー」に、貯まっていた資金を弁護士が指定した「準備口座」に移動させて、ようやく一安心できました。このプロセスは、まさに薄氷を踏む思いでした。
あの経験から得た教訓
破産は、経営者にとって最悪のシナリオです。私の経験から得た教訓は、早期の資金繰り管理の重要性と専門家への早期相談の2点に尽きます。
キャッシュフローの悪化を放置せず、早めに対策を打つこと。そして、経営が厳しくなったら、一人で抱え込まず、早めに弁護士や税理士などの専門家に相談することが何より大切です。
破産は、家族や関係者に多大な迷惑をかける選択であり、私自身「悪」と感じざるを得ませんでした。それでも、やむを得ず破産を選ぶ場合、信頼できる専門家の指導に基づき最後の資金の動かし方を慎重に進めることが、手続きをスムーズに進める鍵となると、身をもって学びました。
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おわりに
この記事では、私の破産手続きの経験をもとに、資金の動かした経緯とその時の感情を振り返りました。破産は誰にとっても辛い選択ですが、もし、あなたがこのような状況に直面しているなら、一人で抱え込まず、信頼できる専門家を頼ってください。それが何よりも大切なことだと、私は信じています。
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