会社が倒産すると、社長は後始末に追われながら、自身の生活費をどうやって確保するかという厳しい現実に直面します。従業員は失業手当が早い段階で支給されますが、社長にはそれがない。
どうやって生きていく? 今回は、私の倒産経験をもとに、失業保険が使えない理由と、生活費を確保した方法を赤裸々に語ります。あくまで私のケースですが、もし同じ状況にいるなら、ヒントになれば幸いです。
1. 社長に失業保険はない! その理由と衝撃
会社が倒産した後、従業員は雇用保険で失業手当を受けられますが、社長は対象外。これは私も最初、知りませんでした。
「失業保険でしばらく生活できるかな?」なんて甘い考えを持っていたんですが、破産申し立てをお願いした弁護士に問い合わせたら即座に「役員はそもそも雇用保険に加入できません」との返事。愚か者の極みでした(笑)。
なぜ社長は失業保険をもらえない?
日本の雇用保険法では、雇用保険は「労働者」を対象にしています(厚生労働省「雇用保険制度の概要」)。
社長は会社の方針を決める経営者であり、「雇用される」立場ではないため、加入資格がないんです。役員報酬は給与とは別扱いで、失業手当の計算対象にもなりません。

例外はあるの?
取締役部長など、使用人兼務の取締役で実質的に従業員と同じ業務(例: タイムカード管理、固定給)なら加入できます。しかし、社長はまったく当てはまりません。
私も給与明細を確認したのですが、雇用保険は引かれていませんでした。
ポイント: 倒産を考える前に、社長は雇用保険がないことを前提に生活費の準備を。私の場合、たまたま蓄えがあったので数ヶ月はしのげましたが、なかったらと思うとゾッとします。
2. 倒産手続きの忙しさ:再就職の時間なんてない
倒産後の2ヶ月は、想像以上に忙しいです。管財人からの電話が毎日かかってきて、会社の財務書類をまとめたり、売掛金の確認をしたり。
たとえば、会社の得意先のリストを出して、住所をそれぞれチェックするなど、普段は整理してデータ化していませんからまとめるのに一苦労です。
勤怠関係では社労士との打ち合わせや、タイムカードなどの資料集めもかなり大変です。私の場合、それらの方々からの依頼があると1日掛かりっきりで事務作業でした。
こんな状況ですので、社長の「再就職活動」はどうしても後回しになります。
精神的にもキツい時期です。「自分は失敗した」と落ち込む中、ハローワークの求人ページを見ていても、管財人からの電話一本で描いていたスケジュールが全て中断されますのでモチベーションが続きません。
このマイナスエネルギーをどう乗り越えるかは、後で触れます。

3. 生活費を確保する方法
蓄えがあったとはいえ、倒産後の生活費をどう確保するかは大問題。車や家は破産手続き上換金できないので、別の方法でしのぎました。以下、私が実践した具体例です。
- 普通預金や定期預金を集める
通帳をチェックしたら、カードの支払いように分散させておいた預金がいくつもあり、定期預金までしている口座もありました。
1つは10万円、もう1つは20万円…と細かい額でしたが、いくつかの口座で合計100万円に。これで当面の生活費をカバーしました。 - 保険の返戻金を活用
昔加入していた積立型の生命保険を解約。解約返戻金が約90万円もありました。これで3ヶ月分の生活費(食費10万円、光熱費5万円など)に充てました。
ただし、破産手続き中は管財人の許可が必要。おかしな動きをすると、財産隠しを疑われますので、しっかりと相談してください。解約自体は保険会社に連絡すれば、案外簡単にできますよ。 - 半日だけのバイトで柔軟に
もしも、早い段階で収入が欲しければ、午前中だけのバイトという手もあります。破産手続きの忙しさは、急な用事が入るのが悩み。
なので、半日くらいは自由時間が取れる仕事を探しましょう。
ただし、自己破産が控えている場合、認められる自由財産は99万円までという規則もありますのでご注意を。 - 細かい節約も積み重ね
クレジットカードのポイントを有効利用(約1万円)、使っていないサブスク(Netflixやジム)を解約(月1万円節約)など、こうした小さな工夫が、意外と大きな支えに。

4. 再就職への一歩:ハローワークをフル活用
手続きが落ち着いてきたら、ハローワークで仕事探し。今はネットで調べることができるので、人知れず就職活動ができます。 地域だけ絞って探してみたら、知らない仕事がたくさんありました。
とても知見が広がった気がして、モチベーションも上がります。また、ハローワークのキャリアコンサルタントに相談すると、無料で履歴書添削や面接対策をしてくれますので、使ってみるのも良いでしょう。
5. メンタルケアが命綱
倒産後はどうしても落ち込みます。私も眠れない日などありました。 しかし、メンタルが崩壊すると全てが上手くいきません。 私の場合、自分を甘やかして乗り切りました。
本当はお金がないんだけど、ちょっと贅沢なものを食べたり、良いお酒を買ってみたり。
「メンタルを保つ必要な手段」と自分を許し甘やかすことで、自暴自棄にならずにすみました。
ドラッグストアで薬を買って飲むのも効果的です。 薬剤師の人に眠れないとか不安だとかの相談すると漢方薬を探してくれます。

まとめ:倒産は終わりじゃない
社長に失業保険はない。考えてみれば当然の現実ですが、預金通帳の発掘や保険の返戻金、細かい節約で生活費は確保できます。
私は今、新しい仕事に挑戦中。倒産は辛いけど、そこで学んだことは次に活きるはずです。あなたも、どんな状況でも一歩踏み出しましょう!
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