はじめに:不安を抱える経営者の方へ
会社が倒産し、破産手続きを進めている間、経営者の大きな不安の一つは「電気や水道、ガスはいつ止まるのか?」ということではないでしょうか。インフラが使えないと、事務所での書類整理や引き継ぎ業務に重大な支障をきたします。
この記事では、私(https://koidenoboru.com/ 著者)が製造業の元社長として実際に経験した、倒産時のインフラ停止・継続の全記録をありのままにお伝えします。
まず結論:私のケースでは
結論:破産管財人との合意により、電気と水道は継続利用できました。
破産開始決定後も、破産財産の管理や書類整理、引き継ぎ業務のために最低限のインフラは必要です。私の場合、管財人が各供給会社と交渉してくれたおかげで、完全に止まることはありませんでした。
ただし、道のりは決して平坦ではなく、特に電気の継続には予想外の困難がありました。
【重要】免責事項
この記事は私の個人的な体験に基づいています。法的な手続きはケースバイケースであり、ここに記載されている内容は法的なアドバイスではありません。具体的な手続きや交渉については、必ず弁護士や管財人にご相談ください。
倒産プロセスとインフラの状況(時系列で解説)

営業停止直後:支払いストップの決断
営業を停止することを決めた時、正直なところ、水道光熱費についても「もう払えない」という気持ちでした。
これからかかる経費をどこまで払うべきか。悩みましたが、営業停止と同時に、電気・水道・ガスの未払金分の支払いをすべてストップしました。
「督促状が来るだろうな」と覚悟はしていました。でも、もう何も見たくないという投げやりな気持ちで、届き始めた督促状は全て開封せずに破産管財人に渡しました。
管財人との初回面談:希望の光
破産申請後、管財人である弁護士との初回面談で、インフラの件を相談しました。
「電気とか水道とかは、どんな感じになりますかね?」
弁護士は慣れた様子で、インフラ継続が業務上必要であることを理解しており、こう説明してくれました。
「それぞれの供給会社に連絡して、継続利用をお願いしてみます。今後の継続利用分(破産開始決定後の利用分)については、破産財団から支払いますのでご安心ください」
この時、「ああ、まぁ何とかなりそうだな」と少しホッとしました。
【最難関】電気継続を阻んだ「保安会社」の壁

インフラの中でも、最も予想外で解決に時間を要したのが電気でした。
予想外の事態:保安会社からの契約解除通告
私の会社は製造業で大きな設備を動かすため、社内に変電設備を所有していました。そのため、法律に基づき電気保安会社と契約し、定期的な点検を受けていました。
ところが、会社が倒産したことで、その保安会社から「契約を解除します」と一方的に通告されたのです。
管財人がお願いしても、「倒産した会社とは契約できません」とあっさり断られてしまいました。
問題の核心:保安会社なしでは電気が使えない
深刻だったのは、この保安会社と契約ができないと、電力会社との供給契約もできないという点です。
つまり、新しい電気保安会社が見つからなければ、事務所の電気が完全に止まってしまうのです。
「これは想定外だった…」と、管財人の弁護士も困惑している様子でした。
管財人の奔走と最終的な解決
管財人はすぐに複数の電気保安会社に連絡を取ってくれました。やはり大手企業は「倒産案件は扱わない」という方針が明確だったようです。
最終的に、小さな電気保安会社が「管財人案件なら」ということで引き受けてくれることになりました。
管財人から「何とか見つかりました」と連絡をもらった時は、本当に安堵しました。
この一件で痛感したのは、インフラ継続は私一人の力ではどうにもならず、管財人の専門的な交渉と努力があって初めて実現するということでした。
水道とガス:継続・停止の明暗

水道:問題なく継続
水道については、管財人から「特に問題なく継続できます」と報告を受けました。管財人の交渉で継続利用が認められたようです。
これは、衛生面を考慮してのことだったと推測されます。実際、破産手続き中でもトイレや手洗いは必要不可欠ですから、最低限の継続は認められやすいのかもしれません。
ガス:あっさり停止された現実
一方、一番困ったのがガス(プロパンガス)でした。
管財人がガス会社に継続をお願いしたところ、「事務作業程度なら必要ないでしょう?」と言われ、あっさり断られてしまいました。
結果、営業停止から約2週間後、本当にガスが止められました。
まだ寒い時期だったので、手を洗う時の水が冷たく、その不便さが「もう事業をやっていない」という倒産の現実を最も生々しく実感させる出来事となりました。
【重要】インフラ費用は誰が払うのか?

インフラの継続利用ができたとしても、多くの経営者が「その費用は誰が払うのか?」と不安になるでしょう。
破産財団から支払われた
私のケースでは、管財人が供給会社と交渉した上で、破産開始決定後の継続利用分(電気、水道)の費用は、すべて破産財団から支払われました。
これは、管財人の業務(破産財産の管理、書類整理など)のためにインフラが必要であるため、その費用は破産財団の費用として優先的に認められたためです。
元経営者である私が個人的に支払いを負う必要はありませんでした。
まとめ:私の倒産ケースにおけるインフラの結果
インフラ | 結果 | 備考 |
---|---|---|
電気 | 継続 | 保安会社探しに難航したが、管財人の尽力で解決 |
水道 | 継続 | 衛生面を考慮し、特に問題なく継続 |
ガス | 停止 | 「必要性が低い」と判断され、営業停止約2週間後に停止 |
冬の寒い事務所で震えながら、凍える水で手を洗い書類整理をした日々を思い出すと、今でも「当たり前にインフラが使えることのありがたさ」を感じます。
倒産を検討中の経営者の方へ
インフラの不安は理解できます。しかし、最も重要なことは、信頼できる弁護士と破産管財人を見つけ、迅速に手続きを進めることです。
電気や水道の継続交渉は、すべて管財人が引き継いで対応してくれます。
不安に苛まれるより、まずは手続きの準備に集中し、プロに任せられる部分は任せることが、この大変な状況を乗り切るための最善策となります。
この記事が、倒産という大変な状況にある方にとって、少しでも心の準備に役立てば幸いです。
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※ これらの記事も実体験に基づいていますが、法的なアドバイスではありません。具体的な相談は必ず専門家へ。
この記事は実体験に基づいていますが、法的なアドバイスではありません。倒産に関する具体的な相談は、必ず専門家にご相談ください。
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