※この記事は筆者の個人的な会社経営の体験に基づく内容であり、法的なアドバイスを提供するものではありません。具体的な手続きや判断については、必ず弁護士などの専門家にご相談ください。
会社を閉じるという現実に直面するまで、「倒産」と「破産」という二つの言葉の境界線は、私にとって非常に曖昧でした。多くの方がそうであるように、私もこの二つの言葉を混同して使っていました。
実際に会社を閉じるプロセスを経験してみて初めて、「ああ、これは違う出来事なんだ」と腑に落ちました。今回は、私の実体験の流れを追いながら、当時私が抱いた「倒産」と「破産」に対する個人的な認識の変化について、詳しくお話ししたいと思います。
私が「会社が立ち行かない」という現実を実感した瞬間

会社の経営継続を断念した時の実情
かねてより資金繰りには苦しんでいましたが、2年前の冬からは特に深刻な状況に陥りました。その場しのぎの対策を続けながらも1年は何とか持ちこたえましたが、翌年の冬には、もう限界だと悟りました。
「このまま会社としての事業継続は不可能だ」と本格的に決断したのは、手元資金が完全に底をつき、翌月のオフィスの賃料や従業員の給与といった、最も重要な支払いができなくなった現実に直面した時でした。
まさにこの瞬間こそ、私が後に「倒産」という言葉で思い返すようになった、事業継続の断念という事実だったのです。
なぜ「倒産=破産」だと当時は感じていたか
実は、この経営断念の段階でも、私は「倒産」と「破産」をほとんど同義のものとして考えていました。そう思い込んでいた背景には、過去に見てきた取引先の事例がありました。
「○○会社が倒産した」というニュースは、決まって「その後、破産手続きに入った」という流れで終わっていたからです。この流れを何度も見ていたことで、無意識のうちに「倒産した会社がたどる運命=破産」という認識になっていたのです。
もちろん、経営が厳しくなってからは、会社の立て直しを目指す民事再生や、単純な廃業といった選択肢についても知識としては頭に入れました。しかし、それは机上の知識に過ぎず、自分の身に起きた「倒産」という現実と結びついてはいませんでした。
弁護士相談は会社の清算を前提に進められた
経営コンサルタントからも「この状況で再建は極めて難しいでしょう」と言われていたため、弁護士への相談も、最初から会社を法的に清算するための手続き(破産)を前提として話を進めてもらいました。
実際の相談では、手続きのスケジュールや必要な書類の準備について、専門的な説明を受けました。当時の私は、目の前の段取りの話で頭がいっぱいになり、「倒産と破産の違い」などという言葉の概念について深く考える余裕は全くありませんでした。
「破産手続き」という具体的なプロセスを経験して得た認識

破産申立から手続き開始決定までの流れ
弁護士と相談を開始してから、対外的な営業活動を停止するまでが2週間、そこから裁判所へ破産の申立を行うまでが1週間、そして開始決定が出るまでが9日間という非常に短い期間でした。営業停止の際、弁護士から取引先へは申立の依頼を受けたという通知がFAXで送られました。
書類の準備は、想像を絶する大変さでした。過去3年分の決算書、すべての取引先や資産のリストなど、膨大な資料を整理する必要がありました。弁護士と幾度も打ち合わせを重ね、ようやく申立の準備が整ったのを覚えています。
裁判所での手続きは弁護士がすべて行ってくださったため、私が直接出向くことはほとんどありませんでした。開始決定が出た瞬間は、「いよいよ会社の最終段階に入った」という、緊張感のある実感がありました。
破産管財人の先生との具体的なやり取り
破産手続開始決定後、裁判所により破産管財人の先生が選任されました。管財人との詳しいやり取りについては別記事で書いていますが、私のケースでは、思っていたよりも親身に話を聞いてくださる方でした。
管財人からは、会社の残された財産についての詳細な聞き取りがありました。銀行にどれくらい預金が残っているか、回収できそうな売掛金はあるか、在庫や機械類にどれくらいの価値があるか、といった事柄です。
財産の処理と現在の状況
この時期は、破産管財人の先生が、会社の土地建物や機械設備などの資産をどのように処分し、現金化していくか(換価)を検討されている段階でした。最も公平で効率的な財産処理の方法について、私も協力しながら進めている状況でした。
現在も手続きは進行中であり、最終的な処理はまだ完了していませんが、この一連の流れを通じて、「破産手続き」とは、会社を閉じた後の法的な清算作業であるということを深く体験することになりました。
体験してわかった「倒産」と「破産」に対する個人的な認識の相違
私の実体験を時系列で整理し、当時の言葉に対する個人的な認識を比較すると、以下のような違いが見えてきました。
段階 | 私の認識(主観) | 当時の状況の描写 |
---|---|---|
倒産 | 「事業の継続が不可能になった」という現実 | 売上激減、資金繰り悪化。営業継続を断念したという事実を指す、一般的な出来事の表現。 |
破産 | 「借金の清算を裁判所に公式にお願いする手続き」 | 倒産後に選択した、法的手続きによる債務整理の具体的な手段の名称。 |
つまり、「会社が立ち行かなくなり、事業を閉じた(倒産)」という出来事に対する後始末の方法として、私の場合「たまたま破産手続きを選択した」というのが、実体験を通じて得た最も正確な理解だと今は感じています。
この体験をブログに書き始めた当初でさえ、私自身「倒産」と「破産」を区別せずに使っていました。しかし、第三者に自分の経験を説明するときに、「これはどちらの言葉を使うべきか?」と意識するようになり、言葉に対する認識が徐々に変化していったのです。
まとめ:会社を閉じる経験から得た個人的な気づき

実際に会社経営の断念を経験した者として、この体験を通じて整理された「倒産」と「破産」に対する私の認識を改めてまとめます。
倒産について:
- 会社が営業を続けられなくなった状態や事実の描写
- この後に、再建を目指すか清算するかという処理方法の選択が始まる
破産について:
- 裁判所が関与する、法的な債務整理の手続き
- 会社の資産を換金して、債権者へ公平に分配する清算の仕組み
- 倒産後の処理方法の選択肢の一つに過ぎない
この言葉の使い分けに対する正確な認識は、特に私と同じような状況に直面した経営者や、その関係者にとって、状況を冷静に判断する上で重要だと感じています。
この記事を読んでくださっている方には、この情報が必要ない状況であることを心から願っています。しかし、言葉に対する個人的な認識の違いを知ることは、いざという時の冷静な判断につながると思い、実体験に基づきお伝えしました。
より詳しい体験談については、時期は前後しますが、私の具体的な経緯や手続きの詳細を、別記事でも詳しく書いています。こちらも併せてご参照いただければ幸いです。
※重要な注意事項:この記事は筆者の個人的な体験談であり、法的なアドバイスを提供するものではありません。実際の手続きや判断については、必ず弁護士、税理士などの専門家にご相談ください。また、法改正等により手続きの内容が変更される場合がありますので、最新の情報は専門家にご確認ください。
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