今回は、資金繰り表についてお話しします。資金繰り表を見たことがない人は、超優良企業の経営者か、ちょっとズサンな経営をしているかのどちらかかも(笑)。私が試行錯誤して作ったオリジナルな方法を紹介します。一般的なやり方とは違うかもしれませんが、きっと参考になるはずです!

知らなかった資金繰り表

会社の業績が悪化すると、銀行は急に「書類を出せ」とうるさくなってきます。最初に求められるのは経営計画書。数年後の見通しを提出しないといけません(これについてはまた別の記事で)。さらに、資金ショートが心配されると、「資金繰り表を出してください」と言われます。


実は、私が経営していた会社は昔、優良な中小企業で、銀行が「お金を借りてください」と頭を下げに来るような会社でした。だから、経営計画書や資金繰り表なんて縁遠い存在だったんです。でも、それが問題でした。いざ銀行に求められると、慌てて準備することに…。

資金繰り表は2種類ある

月次の資金繰り表

求められる資金繰り表は大きく2種類あると思いますが、まず最初に出すのは月次の資金繰り表です。 これは一ヶ月ごとに収支がどうなって月末にいくら残るか?というのを書いた表です。 だいたいその時から先の1年分を求められる事が多いと思います。

日繰り表

そして、月次の資金繰り表が心もとなくなると日繰り表(ひぐりひょう)を求められます。 これは毎日の出入りを1ヶ月分記載したもので、かなり細かい表になります。 銀行側が会社のお金の動きを知るために、色んな情報を引き出すツールになります。

ググったひな型通りに作ってみた

当時の私は経理にはまったく関与していなかったので、資金繰り表を経理担当者に丸投げしました。 ところが、その経理担当者も「分かりました」と返事はしたものの、作ったことが無かったらしく、ネットで調べて出てきたひな型をそのまま使って出してきました。

しかし、だいたいそういったひな型は税理士関係のホームページに掲載されている事が多く、色んな業種に対応できるように細かくて漏れがない多くの項目が並んでいます。 絶対に必要ない項目は省くにしても、分ける必要があるのかと思うほどの項目があって、作る方も見る方も大変です。

結局、経理担当者が退職するまでの数年、その複雑な表に振り回され、頭を抱える日々が続きました。

何のために資金繰り表を作るのか?

そもそも資金繰り表なんて、今月末は大丈夫か? 来月はいけそうか? という感触を得るためのもので、予測を立てないと意味がありません。 しかし先程の経理担当者は、実績については事務員らしくキッチリと転記してくれたのですが、予測については「分かりません」の一点張りでまったく作ってくれませんでした。 下手に作って実績が伴わないと責任を問われるとでも思ったのでしょうか?

なので、実績の記入は経理担当者がやり、未来の資金繰り表は私が作るというちぐはぐな分業を何年も繰り返しました。 これで経営が上手く行く訳ありませんね。

私のシンプル資金繰り表

そもそも経理の仕事をやったことがない私が、資金繰りの予測をするなど無茶が過ぎました。 ということで、経理担当者が退職してから私が経理をやることになり、やっと自前の資金繰り表を作ることが出来ました。 私が作ったのは下のような表です。

日  付○月1日○月5日○月10日○月15日○月20日○月25日
売掛入金Aチーム
売掛入金Bチーム
合     計
買掛支払いAチーム
買掛支払いBチーム
人 件 費
その他経費
合   計
繰 越 残
当 月 残

大まかにはこんな感じです。 

  • 5日ごとの集計:毎日は面倒なので5日毎にしました。
  • 項目をシンプルに:掛入金、買掛支払い、人件費、その他経費の4つに絞り、大きなお金の流れを把握。
  • 税金&社保と利息を追加:これらは金額が大きかったので、その後その他経費から分けた。

経費の切り分けは各社でまちまちだと思いますが、出来るだけまとめた方が見やすいです。

経理の専門家から馬鹿にするなと怒られそうな表ですが、私はこれで不自由がなかったですし銀行にもこのフォーマットで出していました。 分からなければ聞いてくれというスタンスでしたが、突き返されることはありませんでした。 必要であれば、正確なものは税理士に作ってもらえばよろしいので。

自分がわかりやすいのが一番

あくまで私の意見なのですが、こういう表は自分が分かるために作るので「正しさ」とか「正確さ」を追求するよりも、分かりやすさと手軽さを求めたほうが良いと思いました。 実際に何年もこの方式でやっていきましたし、倒産を判断したのもこの表からです。 倒産する直前の絶妙な資金の移動も、この表をもとにやりました。

こんな表を使っていたからダメだったのだという意見もあろうかと思いますが、私はもっと早くからやっていれば結果も変わっていたかもしれないなと思っています。 そのくらい見える化は大切です。

まとめ

ということで、大雑把な資金繰り表を披露する記事になってしまいましたが、重要なのは経営者がお金の流れを把握して理解しておくことです。 とくに中小企業の経営者は資金繰りをしっかりと把握して、お金の有り無しを肌で感じていることが大切だと思います。 以上、詳しい資金繰り表よりも見やすい資金繰り表をというお話でした。

あなたの参考になれば幸いです。