今回は、私がかつて陥った経営計画書の失敗談と、そこから学んだ金融機関に提出する経営計画書の作成ポイントについてお話しします。経営が順調で資金繰りに問題がなければ、金融機関から経営計画書を求められることはまずありません。 しかし、赤字が続いたり返済が滞ったりすると、たちまち書面を要求されます。

そもそも、経営計画書などは金融機関から請求されなくても作成して、2~3年毎に更新していくものかもしれません。 しかし、中小企業の経営者にはそのようなスキルに長けた人が多くいるとは思えず、かなり面倒な作業なので必要に迫られなければ作ることは無いと思います。

まずは、一般的な経営計画書の書き方についてご紹介していきたいと思います。

経営計画書とは?金融機関が求める理由

経営計画の作成目的ですが、これは以下の3点に要約されます:

  1. 社員と事業の方向性を一致させる
    経営計画書で目標を明確化し、社員の認識齟齬やパフォーマンス低下を防ぐ。四半期ごとの計画作成と振り返りで、事業承継時のトラブルも回避。
  2. 会社のビジョンを浸透させる
    経営計画書を通じてMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を共有し、社員の仕事の目的とビジョンとの結びつきを明確化。変化する環境下でモチベーションを維持。
  3. 信用を獲得する
    予算計画を含む経営計画書で経営状況を透明化し、銀行融資や助成金申請時に信用を得る。リスク対策も明示し、プロの相談サービスを活用する企業も増加。

これは、社業の方向性とビジョンを明確にし、数字の裏付けを以て計画を明らかにしていくというものです。 

金融機関と経営者が経営計画書を議論するミーティング

経営計画書の種類とテンプレート

簡易版:経営行動計画書の書き方

金融機関から経営計画書の提出を求められた場合、まずはこのレベルのもので大丈夫と思います。 これは経営計画の全体像が要約して表されており、計画の大きな流れが分かります。 以下に中小企業庁のページからひな形のリンクを貼っておきます。

中小企業庁の『経営行動計画書』ひな形は、売上計画や資金繰り表を簡潔にまとめるテンプレートです:https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sinyouhosyou/dl/keikaku_sample.pdf

本格版:経営改善計画書の特徴

これは、いわゆるバンクミーティングといって、複数の金融機関からの借り入れがある場合 公的機関が入ってその調停を行うとともに、企業の経営改善を監視していくというものです。 以下にリンクを貼っておきます。

金融機関が求める経営改善計画書の作成方法:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/download/05/02_sample_a.pdf

経営計画書で失敗した3つの事例と教訓

金融機関向け経営計画書の実績に基づく売上計画表

経営計画書は、資金繰りが厳しくなったときに金融機関から突然求められる重要な書類です。かつて私は、非現実的な計画書で一時的に融資を引き出したものの、翌年には信用を失い、会社を危機に陥れました。この記事では、中小企業の経営者向けに、私の失敗談と「金融機関が納得する経営計画書の作り方」を3つのポイントで解説します。資金繰り改善や融資獲得の参考にしてください。

非現実的な数字で信用を失う

当時の私は計画書にどんな事を書いたらいいのかも分からず、教科書通りのようなビジョン楽観的な数字で経営計画書を作ってしまっていました。 なんの裏付けもない売上高の伸び、利益の伸び、しかしそういうものを出さないと、融資が受けられないと思ったのです。

計画の進捗管理を怠るリスク

私が提出した素晴らしい経営計画書は見事に追加融資を引き出し、一見大成功かと思われました。 そして、日々の仕事に追われていた私は経営計画書のことなど忘れて出した数字を放置してしまったのです。

将来ビジョン欠如が招く問題

私が会社の経営を引き継いだ瞬間から会社の凋落は始まり、恐ろしい勢いで売上が落ちていっていました。 私は日々の対応に追われ、将来のビジョンを持てず悪戦苦闘していました。 まさに、目の前しか見えておらず、将来を見据えた計画書など作れるはずも無かったのです。

実績を伴わない経営計画書が招いた厳しい結論

当時の私は認識が非常に甘く、「計画書は計画書」で「実績は実績」と全く別のものだと認識し、翌年度の決算が大きな乖離をしていても、あまり問題だと思っていませんでした。

しかし、金融機関の見かたは違います。

 「この会社は全く計画通りに行っていない」、「この会社の計画書はあてにならない」、「この社長の言うことはあてにならない」 そういう判断をされた私は、次の融資を受けることが出来なくなり、さらなる苦境に落ちていったのでした。

中小企業経営者が経営計画書を作成する様子

金融機関が納得する経営計画書の3つの作り方

経営計画書は、資金繰りが厳しくなったときに金融機関から突然求められる「命綱」です。かつて私は、適当な計画書で融資を引き出したものの、翌年には信用を失い、会社を危機に陥れました。この記事では、私の失敗談と、そこから学んだ「金融機関が納得する経営計画書の作り方」を3つのポイントで解説します。

実績データに基づく現実的な計画

私が出した「絵に描いた餅」のような経営計画書が通用するのは1回だけです。 やはり、ここ数年の実績に照らし合わせた計画書を作らないと、信用を失います。 少なくとも、「僅かに届きませんでしたね」という範囲で結果が出るように、出来れば上振れするようなものを作れれば最高です。

短期的な赤字を許容する戦略

赤字の計画書なんてとんでもないと思いがちですが、私が経験した中では嘘の計画書よりもマシです。 金融機関にとっては、融資したお金が戻ってくるかどうかが問題なので 短期的な赤字はうるさく言いませんでした。 私は、会社が潰れそうな計画でなければ2年ほど赤字の計画書でも問題ないという感触を得ています。 今を踏ん張っていけば将来は明るいという計画書を作ってください。

計画の達成で追加融資を引き出す

赤字の計画書を提出していても、結果が少し上振れしていれば信用が上がります。 金融機関も信用できる会社にはお金を貸したいので、信用がキープできていれば、追加融資も期待できます。 計画書をもとに、このあたりで資金の需要が発生しますと、打診してみるのはアリです。

赤字でも融資可能な経営計画書

経営計画書作成のコツと専門家の活用

誠実な計画で信頼を築く

ここまで、金融機関に提出する経営計画書についてお話してきましたが、結論としては適当な書類を作らずに、計画書の作成に対しては真剣に向き合い その後の行動もそれに沿えるようにしていく事です。 そうすれば、金融機関も喜んで融資をしてくれるでしょう。

商工会議所や専門家に相談する方法

そして、難しいようでしたら商工会議所なり冒頭の中小企業庁なりの専門家に早めにお願いしましょう。 4年も5年も赤字が続いていたら、まだ資金に余裕があったとしてもあっという間に倒産に追い込まれます。 計画の目処が立たなければ、金融機関を巻き込んで業績の改善を図るのがいいと思います。

以上、私の経験から見た 金融機関に提出するための経営計画書の作り方でした。

あなたの参考になりますように。