本記事は個人の実体験に基づく情報提供であり、すべての企業に当てはまるものではありません。経営や資金繰りに関する具体的な判断は、必ず専門家にご相談ください。
プロローグ:失敗した経営者だからこそ伝えたいこと
私は20年以上黒字経営を続け、毎年2割の配当を出していた会社を倒産させました。「優良企業の社長」から「倒産社長」への転落を経験した私だからこそ、銀行との付き合い方で「やっておけばよかった」「もっと早く気づけば…」という後悔をお伝えしたいと思います。
こんな状況でお困りの方に読んでいただければと思います。
- 業績悪化で銀行の対応が変わってきた
- 返済猶予を相談したいがタイミングが分からない
- メインバンクとサブバンクの使い分けに悩んでいる
- 銀行にどこまで正直に話すべきか迷っている
第1章:好調時代の銀行との蜜月関係「お金を借りてください」
あの頃は銀行との関係が良好だった

20年以上続いた黒字経営の時代、銀行との関係は非常に良好でした。A銀行(メインバンク)、B銀行、C銀行の3行と取引していましたが、設備投資の相談などをすると積極的に提案をしてくれていました。
決算報告の際も「安定した経営ですね」と評価してもらい、支店長とも定期的に面談を重ねる中で信頼関係を築けていると感じていました。銀行は事業のパートナーだと考えていたのです。
【当時の心境】勘違いがあった
「銀行は頼めばいくらでも貸してくれる」
正直、そんな勘違いがありました。長年の黒字経営で銀行からの信頼も厚く、お金の心配をしたことがありませんでした。
【今思えば】好調時こそ関係構築のチャンスだった
倒産を経験した今だからこそ分かりますが、業績好調時こそ銀行との深い信頼関係を築くべき時期でした。単なる接待や表面的な付き合いではなく、本当の意味での信頼関係を。
特にメインバンクのA銀行とは、もっと密にコミュニケーションを取るべきでした。決算数値の報告だけでなく、事業の課題や将来への不安なども率直に相談しておけば、後の展開は変わっていたかもしれません。
【気づき1】好調時こそメインバンクとの深い関係構築が重要
第2章:赤字3年でも変わらない銀行の態度「意外な発見」
赤字転落、それでも銀行は冷たくならなかった

業界環境の変化により、ついに赤字転落。1年目、2年目、3年目…と赤字が続きました。正直「もう銀行から見放されるだろう」と覚悟していました。
ところが意外なことに、3年連続赤字でも銀行の態度はほとんど変わりませんでした。支店長との面談でも「厳しい時期ですが、頑張ってください」程度の反応。融資の新規相談でも、以前ほどではないものの、前向きに検討してくれていました。
【当時の心境】拍子抜けと安心感
「赤字でもこんなもんか」
正直、拍子抜けしました。同時に「まだ大丈夫なんだ」という根拠のない安心感も抱いてしまいました。この油断が後に大きな誤算を生むことになります。
【今思えば】返済実績こそが信用の源泉
なぜ3年連続赤字でも銀行の態度が変わらなかったのか。答えは簡単でした。「返済を遅らせていなかったから」です。
赤字でも約定通りの返済を続けている限り、銀行にとって私たちは「問題のない取引先」だったのです。逆に言えば、返済に遅れが生じた瞬間から、すべてが変わることを意味していました。
【気づき2】銀行が最も重視するのは「返済実績」
第3章:初めての返済猶予依頼「計画書1枚の魔法」
ついに資金がショート、初めて頭を下げる

4年目についに資金がショートし、初めて返済猶予を銀行に依頼することになりました。プライドを捨て、まずはB銀行に相談。「今月の返済を待ってもらえませんか」
支店長は少し困った顔をしましたが、「分かりました。本部に相談してみます」と意外にもすんなり了承してくれました。
一方、C銀行に同じ相談をした際は、「経営改善計画書を出していただけますか」と要求されました。
【当時の心境】計画書なんて面倒くさい
正直、経営改善計画書なんて面倒でした。ネットで雛形を探し、理想的な数字を当てはめただけの、今思えば非常にお粗末な内容でした。
【今思えば】その「お粗末な計画書」が扉を開いた
ところが驚いたことに、そのお粗末な計画書を提出した数日後、C銀行から「追加融資のご相談があります」と連絡が来たのです。
計画書の数字の根拠は薄く、実現可能性も疑わしいものでした。それでも銀行は「改善に向けて取り組む姿勢」を評価してくれたのです。
銀行は完璧な計画書を求めているのではなく、「この経営者は現状を把握し、改善に向けて本気で取り組もうとしているか」を見ていることを実感した瞬間でした。
【気づき3】計画書は完璧でなくても誠実な姿勢が重要
第4章:銀行の本音が見えた資金繰り限界時「押し付け合いの始まり」
「他行はどう言ってますか?」の真意

赤字が継続し、会社の財務状況は限界に近づいていました。毎年の借り換えや資金繰りのつなぎも徐々に難しくなってきた頃、銀行の担当者から頻繁に聞かれるようになった質問があります。
「他行さんはどう言ってますか?」
最初は何気ない質問だと思っていましたが、だんだんと真意が見えてきました。「うちだけがリスクを負うのは嫌だ」「他行が手を引くなら、うちも…」という思惑が透けて見えたのです。
【当時の心境】ああ、押し付け合いが始まった
「もう終わりかもしれない」
銀行同士の押し付け合いが始まったことを察し、絶望的な気持ちになりました。今まで「パートナー」だと思っていた銀行が、急に「他人」のように感じられました。
【今思えば】銀行も組織、担当者も人間
冷静に考えれば当然のことでした。銀行も営利企業であり、担当者も組織の中で評価される立場です。「なんとしても支援したい」という個人的な思いがあっても、組織の論理が優先されるのは仕方のないことでした。
この時期に学んだのは、銀行の担当者レベルでの関係性も大切ですが、最終的には「本部の判断」が全てを決めるということでした。
【気づき4】銀行も組織の論理で動くことを理解する
第5章:最後まで残ったメインバンクとの別れ「金を出すだけが支援じゃない」
次々と手を引く銀行たち
まず最初に手を引いたのがC銀行でした。「本部の承認が下りませんでした」というお決まりのフレーズと共に、静かに距離を置き始めました。
続いてB銀行。以前は「他行の分もうちでやらせてください」と言ってくれていたのに、いつの間にか新規融資の話は一切出なくなりました。
【当時の心境】裏切られた気持ち
「所詮、銀行なんてそんなもんか」
怒りと悲しみが入り混じった感情でした。特にB銀行に対しては「あれだけ良い関係だったのに」という裏切られた気持ちが強くありました。
唯一残ってくれたメインバンクA銀行
そんな中、最後まで相談に乗ってくれたのがメインバンクのA銀行でした。もちろん厳しい言葉もありましたし、新規融資は難しい状況でしたが、資金繰りの相談や経営改善のアドバイスには最後まで応じてくれました。
「今は新たな融資は難しいですが、何か他にお手伝いできることがあれば相談してください」
この言葉に、どれだけ救われたことか。
【今思えば】メインバンクとの関係が生命線
結果的には倒産となりましたが、A銀行が最後まで相談相手でいてくれたことで、精神的にどれほど助けられたかわかりません。
倒産後、A銀行の支店長は「もっと早く相談してもらえれば、違う結果もあったかもしれません」と言ってくれました。その言葉の重みを、今でも噛み締めています。
【気づき5】メインバンクとの関係こそが企業の生命線
エピローグ:倒産後に学んだ銀行との向き合い方
プライドを捨てる勇気

倒産を経験して最も後悔しているのは、「もっと早く、プライドを捨てて相談すべきだった」ということです。
経営者としてのプライド、「弱音を吐いてはいけない」という思い込みが、適切なタイミングでの相談を遅らせました。銀行は決して敵ではありません。早期に相談すれば、一緒に解決策を考えてくれる存在でもあるのです。
銀行は完全に冷たくなるわけではない
倒産が決まった後も、A銀行は「何かあったら相談してください」と言い続けてくれました。回収が困難になった債権を抱えているにも関わらず、です。
この経験から学んだのは、どんなに厳しい状況でも、銀行は完全に冷たくなるわけではないということです。信頼関係と相談のタイミング次第で、大きく変わるのです。
あなたには同じ失敗をしてほしくない
私の失敗体験があなたの成功につながれば、これほど嬉しいことはありません。
もしあなたが今、資金繰りで悩んでいるなら、プライドを捨てて早めに銀行に相談してください。そして必要に応じて、税理士や中小企業診断士などの専門家の力も借りてください。
私にはもうやり直すチャンスはありませんが、あなたにはまだ時間があります。
※本記事は個人の体験に基づくものであり、すべての企業や状況に当てはまるものではありません。具体的な経営判断については、必ず専門家にご相談ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この体験談が一人でも多くの経営者の方のお役に立てれば幸いです。
冷たさが、今日のストレスを流してくれる。
デスクで手軽にアイスカフェタイム。6種の味で気分もリセット。
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