今回は、私の会社について、破産を決意してからXデーまで従業員に対しての対応や手続きについてお話します。 私の経験からリアルに悩んだことなどを書いていますので、読んでみてください。 具体的な手続きについては最後の方にまとめています。
破産を決意してからXデーまでの従業員対応
破産準備中の従業員への配慮と注意点
会社の破産を決意し、弁護士に相談した結果、Xデー(社内外に営業停止を告知する日)を約2週間後に設定しました。 Xデーまで破産準備を従業員に気づかれないよう進めることが、当時の最優先事項でした。
関係者への被害を最小限にする工夫
破産申し立てのため資料の準備や、資金の算段も密かに進めていきました。 関係者への被害を少なくするために、給料や支払いの面でいつもと違うパターンが発生しました。 従業員に不審に思われましたが、上手に対応しました。

Xデーに従業員へ伝えた内容と失敗
倒産・営業停止の適切な伝え方
Xデーの数日前から、当日は従業員を前にしてどういう言葉で伝えようかと悩みました。 この会社は・・、「本日で破産します」は法的に間違っていますし、「本日で倒産します」もちょっと意味が分かりにくいです。
最終的に「本日を持って〇〇社は営業を停止します、簡単に言うと倒産です。 最終的に破産という手続きになろうかと思います。」という表現にしました。
あとは、指定時間内に私物を片付けて退社してほしいこと、今後の手続きについては追って連絡するという旨の話をしました。
最後に解雇通知書を全員に手渡ししました。
その後は部屋(社長室)に引きこもって、時間になるのを待ちました。
誤った情報伝達の影響と反省
ここで私は大きな間違いを犯し、「従業員の給料は最優先になるので、1ヶ月以内に未払いの賃金は払えると思います」と伝えてしまったのです。 その後 破産管財人と話している中で間違いに気づき、訂正のメールを出しましたが、お金の話なので申し訳なく思います。 実際の支払いは3か月以上も先になってしまいました。
解雇予告手当の曖昧な説明の課題
Xデー当日は解雇予告手当についても言及しましたが、払えると思いますという曖昧な言い方しか出来ませんでした。 まだ終わっていませんが、実際には払えそうにありません。

破産後の従業員解雇手続きの詳細
破産時の従業員解雇手続きは、期限や書類の正確さが求められます。 会社が倒産しても従業員に対しての手続きはたくさん残ります。 以下に紹介していきます。
雇用保険(失業保険)の手続きと期限
Xデーのあと直ぐにやらなければいけないのが、雇用保険(失業保険)の手続きです。 これは、倒産から10日以内に、解雇した従業員分の雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書を作成して、これを解雇通知書の写しとともに、管轄のハローワークに提出します。
私の場合は契約していた社会保険労務士が1ヶ月の延長契約でやってくれたので、資料を揃えて渡すだけで済みました。 出勤簿や賃金台帳も必要になります。
社会保険の手続きと必要書類
社会保険に関しては、保険証を回収して社会保険労務士に渡し、あとの作業はおまかせしました。 後日資料が揃ったら、会社にてゴム印と代表者印を押し、年金事務所に提出してもらいます。
年金事務所の手続きが終わり、各人へ返却する書類が揃ったら郵送します。 この作業は誰にも頼めませんでしたので、私が自分でやりました。
源泉徴収票の発行と注意点
会社が倒産したあと、解雇した従業員たちに源泉徴収票を渡します。 これは解雇した日までに支払った賃金をもとに計算し、その後に支払われる未払い賃金は計算に入れません。
倒産したタイミングにもよると思いますが、それほど急ぐ必要もありません。 私の場合、計算は自分でしましたが、発送は管財人の事務所がやってくれました。
住民税の手続きと管財人の役割
住民税についても手続きが必要です。 所轄の役所に 給与天引きでは無くなった旨の書類を出さなくてはいけません。 私の場合、これも管財人の事務所がやってくれました。
払い賃金の立替払い制度
労働者健康安全機構の立替払い制度は、破産時の従業員救済に欠かせません。 会社にお金が残ってなく、未払い賃金を払えず倒産する会社もあろうかと思います。
そういった場合に従業員を救済する措置として独立行政法人労働者健康安全機構が未払い賃金の一部を立替払いする制度があります。
これは未払い賃金の8割を建て替えてくれるもので、最終的な破産の手続きで破産財団(管財人の管理下)にお金が残れば機構に返却されるものです。

破産時の従業員対応で学んだ教訓
以上、会社破産時の従業員解雇手続きについて、実体験をもとに詳しくお伝えしました。破産は経営者にとって厳しい決断ですが、従業員への誠実な対応と正確な手続きは信頼を保つために不可欠です。
Xデーでは、事前準備と明確な表現が重要です。雇用保険や社会保険の手続きは期限が厳格なので、早めに対応しましょう。
私の失敗から学んだ教訓は、「曖昧な約束を避けること」。未払い賃金や解雇予告手当について楽観的な発言は信頼を損ねます。破産管財人や専門家と連携し、正確な情報を伝えましょう。
この記事が、破産を検討中の経営者や従業員対応に悩む方の参考になれば幸いです。ご質問や体験談はコメント欄でぜひ共有を!