はじめに
自己破産の手続きを進めていく中で、多くの人が不安に感じるのが「管財人との面談」です。インターネットで調べても体験談は少なく、「どんな質問をされるのか」「どれくらい厳しく追及されるのか」など、分からないことばかりで心配になりますよね。
今回は、法人破産と個人破産を同時に経験した私が、実際の管財人との面談や手続きの流れについて詳しくお伝えします。一般的な説明と私自身の実体験を併せて書いていますので、同じような状況にある方の参考になれば幸いです。

管財人の役割とは
一般的な管財人の役割
自己破産の手続きでは、財産がある場合や法人破産などのケースでは「管財事件」となり、裁判所から選ばれた弁護士(管財人)が関与します。管財人は債権者の利益を守るため、破産者の財産を調査・管理し、必要に応じて処分・配当を行う重要な役割を担います。
私の場合の管財人選定
私は法人破産と個人破産を同時に申し立てたため、同じ管財人が両方を担当することになりました。破産開始決定が下りた後、申し立てを依頼していた弁護士と一緒に管財人の事務所へ挨拶と引き継ぎに向かいました。

初回面談:想像以上に淡々とした印象
一般的な面談の流れ
管財人との面談は通常1〜2回で終わることが多く、時間は30分〜1時間程度です。持ち物としては本人確認書類や通帳など財産状況が分かる資料が求められますが、事前に弁護士に提出済みであれば当日は身軽でも問題ない場合があります。
実際の面談体験
管財人の事務所が弁護士事務所から徒歩圏内だったため、そのままスーツ姿で向かいました。筆記用具も持参しましたが、結局使うことはありませんでした。
面談の大部分は弁護士と管財人の間で進み、私は横で聞いているだけ。1時間ほどでしたが、想像していたよりもずっと淡々とした印象でした。厳しい追及を覚悟していましたが、事務的で冷静なやりとりが中心でした。
書類準備:家計表作成の苦労
提出が必要な書類
破産手続きでは膨大な資料の提出が必要です。通帳のコピー、保険証券、ローン明細など、家中の書類をかき集める作業になります。特に「家計表」は重要で、収支のバランスが破綻しているかどうかがチェックされます。
家計表作成での苦戦
通帳や保険関係の書類は比較的すぐに集められましたが、家計表の作成には非常に苦労しました。手元の現金と通帳の金額の帳尻が合わず、「この出金は何だったのか」と思い出すのに苦戦。どこにお金が消えたのか自分でも分からなくなるほどでした。
がん保険に約80万円の解約返戻金がありましたが、破産開始決定前に生活費として消えてしまい、結果的に財産とみなされることなく済みました。
※家計表の作成や財産の整理に不安がある方は、こちらの書籍も参考になります: → 借金完全整理 自己破産マニュアル(第6版)(実務的な手続きの流れが詳しく解説されています)

面談で聞かれた質問と対応
典型的な質問内容
管財人との面談では、一般的に以下のような質問がされます:
- 破産に至った経緯(借金や経営状況の詳細)
- 現在の収入や生活状況
- 名義変更・財産隠しなどの疑念がないか
面談の目的は「破産手続きに不正がないか」「債権者に公平な配当がされるか」を確認することです。
私の場合の質疑応答
法人破産だったこともあり、個人のカード破産などとは性質が大きく異なりました。主なやりとりは弁護士と管財人の間で進み、私は補足説明をする程度の立場でした。
隠し財産などは一切ありませんでした。お金があればすべて会社につぎ込むような生活だったので、「嘘をつこうにも材料がない」というのが正直なところ。ありのままを話したことが功を奏したのか、厳しい追及を受けることもありませんでした。

資料提出での細かい指摘と修正
追加資料の要求
管財人への資料提出は申し立て弁護士を通じて行われます。基本的な書類は申し立て時に提出済みですが、管財人の判断で追加資料の提出を求められることも珍しくありません。
度重なる修正と再提出
「これで一通り揃ったはず」と思っていたものの、後から「この数字の根拠を示す資料が抜けています」「日付がずれています」といった指摘が次々に入り、修正と再提出の繰り返しになりました。
細かい数字のずれや通帳のコピー範囲、電気料金の明細1枚など、本当に小さなことにも気を配る必要があり、非常に神経を使いました。それでも期限通りに提出し、トラブルなく進行できたのは救いでした。
面談後の頻繁な連絡と「指示待ち」の日々
面談後の連絡頻度
面談後は「しばらく連絡が来なくなる」という声をネットで見かけますが、実際にはケースによって大きく異なります。頻繁に資料提出を求められる場合もあれば、ほとんど接触がなくなることもあるようです。
私の場合は面談後が本番
むしろ面談後からが本番のような感覚でした。管財人の事務所からは何度も資料の追加提出や確認の連絡が入り、メールや電話が頻繁にありました。期限がタイトなものも多く、緊張感のある毎日でした。
管財人ご本人は温和で穏やかな印象でしたが、提出物や期限については非常に厳格。担当事務員の方も丁寧でしたが、書類の抜けや遅れについては一切妥協がない「プロの厳しさ」を感じました。
心境の変化:経営者から当事者へ
破産手続きが進む中で、心境にも変化がありました。以前は会社を率いる立場として毎日が判断と決断の連続でしたが、破産手続きに入ってからは自分で決めることが激減しました。
管財人や弁護士からの指示に従い、必要な書類を出し、確認に応じる。その繰り返しの中で、ふと「気が楽になっている自分」に気づきました。自分の存在が「経営者」から「当事者」へと切り替わっていく感覚でした。
会社という組織や建物への愛着は簡単に消えるものではありませんが、あの緊張の連続だった日々と比べると、気持ちは確実に穏やかになっていました。

手続きの進捗:予想より早い終了の見込み
私の破産手続きは法人破産が先行し、それが終わり次第、個人破産に進むという流れでした。当初、法人の管財事件には1年近くかかると聞いていましたが、想定よりもスムーズに進み、半年あまりで終了しそうです。
法人の手続きが終われば、私個人の免責審尋・決定に進む予定です。まだ正式な免責許可は下りていませんが、「このまま行けば終わる」という感覚が持てるようになっただけでも、大きな気持ちの変化です。
※私は自己破産手続きについて、上手くいかず後悔した部分もあります。選択肢を広げるために専門家による無料相談を活用することをおすすめします: → 全国¥0相談はこちら!【アース司法書士事務所】
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まとめ:管財人は敵ではなく、プロフェッショナル
管財人と聞くと「財産を取り上げる怖い存在」と思ってしまいがちです。確かに債権者の立場を守るために財産を管理し、必要であれば処分・配当する立場であることに間違いはありません。
しかし私の体験を通じて言えるのは、「誠実に向き合えば、管財人も丁寧に対応してくれる」ということです。感情的な対立ではなく、法と手続きに基づいたやりとりの中で、お互いに役割を果たしていく感覚でした。
自己破産は人生の終わりではありません。私にとっては「仕切り直しのきっかけ」でした。このブログを書くこともその一部です。自分の経験を記録し、同じように悩んでいる誰かの背中を、ほんの少しでも押せたなら、この経験に意味があったということだと思います。
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