還暦が近づき、毎日M&Aに関するDMが届くようになった、という社長さんもいらっしゃるのではないでしょうか。「全てが悪徳業者とは言わないまでも、少し胡散臭く感じる…」そんな風に思っている方も多いかもしれませんね。
後継者不在の悩みを持つ中小企業の社長さんにとって、M&Aは一つの選択肢となり得ます。しかし、正しい知識がないまま安易に話を進めると、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性もあります。
この記事では、そうしたDMに惑わされず、M&Aを正しく理解し、賢く検討するための「広く浅い知識」と「注意点」、そして「公的な相談窓口」についてお伝えします。
M&Aとは?基本の「キ」

M&Aとは、企業の合併・買収の総称です。難しく聞こえますが、会社や事業を売買することと考えていただくと分かりやすいでしょう。
M&Aを行う目的(売り手側)
- 後継者問題の解決: 後継者がいない場合に、会社や事業を存続させる一つの方法です。
- 事業の選択と集中: 特定の事業を手放し、得意な分野に注力するケースもあります。
- 創業者利益の獲得: 創業者がこれまで築き上げてきた努力の対価を得るという側面もあります。
- 従業員の雇用維持: 会社が存続することで、従業員の雇用を守ることにも繋がります。
M&Aを行う目的(買い手側)
- 事業規模の拡大や新規事業への参入。
- 新しい技術やノウハウ、優秀な人材の獲得。
M&Aの主な種類
- 株式譲渡: 会社の株式を買い手に譲り渡し、経営権を移す方法です。中小企業のM&Aで多く用いられます。
- 事業譲渡: 会社の一部事業や特定の資産、負債などを譲渡する方法です。
ここが落とし穴!?M&Aを検討する際の注意点

M&Aの話は、時に魅力的に聞こえるものですが、焦らず慎重な検討が必要です。
- DMや安易な言葉に注意する
- 「あなたの会社を高く買い取ります」といった甘い言葉には、すぐに飛びつかないようにしましょう。相場感を持ち、冷静に判断することが重要です。
- 「秘密厳守」を謳いながら、詳細な情報提供を急かす業者には警戒が必要です。
- 手数料体系をしっかり確認する
- 着手金、中間金、成功報酬など、M&Aには様々な費用が発生します。契約前に、どのような費用が、いつ、いくら発生するのかを明確に理解しましょう。
- 成功報酬以外の名目で多額の費用を要求する業者には注意が必要です。
- 独占契約は慎重に検討する
- 特定の仲介業者との独占契約は、他の選択肢を閉ざす可能性があります。契約期間や解除条件などをよく確認し、慎重に判断しましょう。
- 情報の開示は段階的に
- 会社の機密情報を含む詳細な情報は、初期段階では安易に開示せず、専門家と相談しながら進めるのが賢明です。
- 特に注意!赤字企業や債務超過の場合
- 私の経験からお伝えしたいのは、赤字企業や債務超過に陥っている企業のM&Aは、買い手を見つけるのが非常に難航するということです。
- 「こんな状況でもM&Aができる」という話には、特に慎重な姿勢が必要です。債務が多額に上る場合、買い手側にとっては大きな負担となり、交渉がまとまらないケースが多いのが現実です。会社の未来の岐路でM&Aを検討する経営者
- 安易な希望的観測はせず、会社の状況を正確に把握し、厳しい現実も踏まえた上で、専門家と現実的な選択肢を検討することが重要になります。
どこに相談すればいい?公的機関・信頼できる相談窓口

M&Aの検討は一人で抱え込まず、信頼できる相談相手を見つけることが成功への鍵です。
- 中小企業庁の事業承継・引継ぎ支援センター
- 国が設置している公的なM&A・事業承継支援機関です。無料で相談でき、中立的な立場で専門家への橋渡しもしてくれます。安心して相談できる窓口の一つです。
- 商工会議所・商工会
- 地域の中小企業を支援する公的機関で、事業承継に関する相談も受け付けています。地域の情報も得やすいでしょう。
- 地域の金融機関(銀行・信用金庫など)
- 日頃取引のある金融機関もM&Aの仲介や情報提供を行っている場合があります。長年の取引から会社の状況を理解しているため、相談しやすいかもしれません。
- M&Aに強い弁護士・公認会計士・税理士
- 法務や税務に関する専門的なアドバイスは不可欠です。M&Aの実績がある専門家を選ぶようにしましょう。顧問の先生にまずは相談してみるのも良いでしょう。
まとめ:M&Aは「情報戦」。焦らず、賢い選択を!
M&Aは会社の未来を左右する重要な決断です。毎日届くDMに惑わされず、まずは正しい知識を身につけ、信頼できる相談先を見つけることが大切です。
会社の状況やご自身の意向を踏まえ、焦らず、しかし着実に検討を進めていくことで、最善の道が見えてくるはずです。
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