私の会社が破産するまで|15期赤字を耐えた製造業の最期

製造業の工場外観 破産・倒産手続き

はじめに

私が経営していた製造業の会社が破産申立てを行ってから、半年以上が経過しました。破産手続きも管財人のもとで進行し、当時の混乱も落ち着いた今、改めて当社の倒産について客観的にまとめてみたいと思います。

最盛期には従業員約100人、売上約19億円を誇る中堅企業でしたが、業界の構造的不況と私自身の経営力不足により約20年間で売上が約3億円まで縮小し、最終的に従業員約30人の段階で破産に至りました。

本記事では、元社長である私が実際に作成・管理していた財務データに基づき、当社の倒産メカニズムを客観的に分析します。

会社概要と倒産時の基本データ

当社の基本情報

  • 業種:製造業
  • 最盛期:従業員約100人、売上約19億円
  • 倒産時:従業員約30人、売上約3億円
  • 負債総額:約4億円
  • 破産申立て:自己破産(現在手続き中)

財務状況の実態

長期赤字の継続

当社は約15期連続で赤字を計上していました。私が毎期作成していた決算書類を振り返ると、業界全体の縮小に伴い売上減少が止まらない中、固定費の削減が追いつかない状況が長期間続いていたことが確認できます。

債務超過の発生と継続

約8年前から当社は債務超過に陥りました。それでも事業を継続できたのは、過去の優良企業としての実績により、取引金融機関からの信用が維持されていたためです。

借入金の状況

破産申立て時の借入金は約3億円で、これは年間売上高とほぼ同額に相当していました。製造業における借入金対売上高比率としては明らかに危険水域でした。

資金調達の変遷

正常融資からローリングへの移行

当初、当社は短期資金を毎年返済・借入する正常なサイクルを維持していました。しかし約10年前からこのサイクルが維持できなくなり、借り換え(ローリング)による延命が始まりました。

私が金融機関との面談で感じていたのは、この時点で各行も当社の財務状況を問題視し始めていたものの、過去の取引実績を考慮して融資継続を判断していたということです。

金融機関による監視強化

ローリング開始後、金融機関による経営状況の監視が強化されました。私は定期的な業況報告や改善計画の提出を求められるようになり、約10年間にわたって綱渡りの資金調達を続けることになりました。

破綻メカニズムの分析

なぜ長期間事業継続が可能だったか

  1. 過去の信用力の維持:優良企業時代の取引実績により、私が実感していたのは「約3年程度の赤字では銀行は動かない」という状況の継続でした
  2. 自己資金の存在:過去の優良時代に蓄積した内部留保が資本金の約10倍程度あり、これを約15期にわたって食いつぶしながら延命していました。金融機関も「自己資金がある間は」という判断だったと推測されます
  3. 段階的な規模縮小:従業員を約100人から約30人へ段階的にリストラを実施し、私は常に固定費削減に取り組んでいました
  4. 資金繰り技術の活用:支払サイトの調整や入金促進など、私自身が小規模な資金繰り改善を継続的に実施していました

最終的な破綻要因

私が毎月作成していた資金繰り表により、以下の状況が明確となりました:

  • 当月:ギリギリ資金確保可能
  • 翌月:資金不足発生の可能性
  • 半年後:確実な資金ショート

特に深刻だったのは、当社のキャッシュフローにはムラがあり、通常であれば最も資金繰りが改善されるべき月においてさえ、この厳しい状況であったことです。つまり、季節要因による改善も見込めない状況に陥っていました。

この私自身が作成した客観的データに基づき、延命の限界と判断しました。

破産申立てまでの経緯

意思決定プロセス

営業停止の約2週間前に破産を決断しました。コンサルタントからは延命策の提案がありましたが、私が作成した資金繰り分析に基づき延命は無意味と判断し、破産申立てを選択しました。

実務的手続き

知人の弁護士に破産申立てを依頼し、営業停止当日の午前中に全従業員約30人に対して私自身が破産決定を通知しました。

債務処理の現状

従業員への未払賃金については確保できましたが、解雇予告手当の支払いは困難でした。取引先に対しても一定の損失を与える結果となりました。

倒産パターンの特徴

当社の事例は「緩慢な衰退型倒産」の典型例といえます。約20年という長期間にわたって売上が縮小し続け、約15期の連続赤字にもかかわらず、過去の信用力により延命が続きました。

最終的には私が作成した客観的な資金繰り分析により冷静な判断を下しましたが、振り返れば、より早期の段階での抜本的対策(事業転換、M&A等)の検討余地があったと分析しています。

現在、破産手続きは管財人により進行中で、債権者集会を経て最終的な債務処理が行われる予定です。

関連記事実務編】破産手続き直前の資金移動、弁護士とのやり取りなど、具体的な倒産時の実務はこちら

おわりに

最後に、当社の倒産により多大なご迷惑をおかけした全ての関係者の皆様に、心よりお詫び申し上げます。

約30人の従業員の皆様には雇用の場を失わせることとなり、取引先企業の皆様には売掛金の回収困難など経済的損失を与えてしまいました。また、お取引いただいていた金融機関の皆様にも債権の回収に支障を来すこととなりました。

経営者として、事業の継続ができなかった責任は重く、関係者の皆様に与えた影響について深くお詫び申し上げます。


資金繰りの選択肢を知っておくことの大切さ

債権者集会を経験して改めて思うのは、「もっと早く手を打てなかったのか」ということです。

私は当時、資金繰りに困った際にファクタリングという仕組みをよく知らず、結果的にクレジットカードのキャッシングに頼ってしまいました。

もしその時に今の知識があれば、違う選択をしていたかもしれません。

もちろん、ファクタリングが万能の解決策ではありませんし、手数料も決して安くありません。しかし「選択肢として知っておく」ことは重要だと思います。

同じように資金繰りで悩む経営者の方に向けて、私が後から調べた情報をまとめた記事があります:

👉 元経営者が選ぶファクタリング7社比較|資金繰りで悩んだ元経営者が後から調べた情報まとめ

⚠️ この記事も専門家の監修は受けていません。利用を検討される場合は、必ず税理士・会計士等の専門家にご相談ください。

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