私は倒産するまでに、その危機を何度もくぐり抜けてきました。 その中で、たった一度の交渉が会社を救った経験を紹介します。 今思い返しても「準備もしたけど、ラッキーだった」というものですが、試してみて損はないと思います。
一般的な長期的手法
- 売上増加: 新規顧客獲得やリピート率向上、売価単価の調整。
- コスト削減: 無駄な経費の見直しや仕入れ単価の見直し。
- 支払い条件の調整: 取引先との支払い期限延長や早期回収の交渉。
- 資金調達: 銀行融資、補助金など。
- 在庫管理の最適化: 過剰在庫の削減や売れ筋商品の優先管理でキャッシュフロー改善。
これらは一般的でまだ時間的に余裕がある時に検討するべき手法でしょう。 この段階でしっかりと手が打てていれば最高です。
短期的な手法
- 売掛金の早期回収: 得意先に早期支払いを依頼。
- 支払い猶予の交渉: 仕入先や債権者に支払い期限の延長を依頼。
- 短期融資の活用: 銀行の短期ローンなどで即時資金調達。
- 不要資産の売却: 使っていない設備や在庫を迅速に現金化。
- 経費の即時削減: 広告費や出張費など、すぐに止められる非必須支出のカット。
かなり資金繰りが苦しくなって考えられる手法で、今すぐでは無くても2~3ヶ月以内には何とかしないと危ないという状態なら真剣に考えるべきです。
これを読んで、「なるほど」と思えた人はまだまだ余裕があります。 しっかりと取り組んでください。 ただ、「そんな事はやってみた」とか「そんな簡単にはいかない」と思った人、ピンチです。 実際、私も資金繰りの改善方法を調べたりして、「それが出来たら苦労はせん」と思っていました。
私は何が上手くいったのか
さて、そんな私が上手くいったもの それは短期的な手法の最初の項で「売掛金の早期回収」です。 まだまだ余裕がある頃は、お金のことを人に頼むのなんて考えられなかったのですが いざとなったら知恵と力が出るものです。 悩みに悩んで、私の会社の売上で半分くらいを占める一番大口の取引先に直談判に行きました。

その取引先とは月末締めの翌15日払いと、入金サイトとしてはかなり好条件の会社でした。 私の会社よりも全然大きく、私は子会社みたいな気分でしたから頼みやすかったのかもしれません。 ちなみに、お願いに行ったのはその会社の社長で、普段からゴルフや飲み事で親しくさせていただいていました。 やはり、付き合いごとも大切です。
そして、これも運が良かったのかもしれませんが、先ほどの好条件である入金サイトはちょっと複雑で 現金と手形の2本立てになっていました。 なので手形は銀行に出して割引をしてもらってと、こちらも面倒な案件でした。
当時、知恵のなかった私は(今も無いですが)先方への負担もできる限り少ない方法として、手形を早めに振り出してもらうようにお願いしたのです。 そうすれば、先方の現金は減らずに、こちらは早めに割り引いて現金化出来ます。 しかし、先方の社長さんは「協力はしたいけども、コンプライアンス的にマズイことはできないよ」と普通のことを仰りました。 私はその一言で背筋が凍りました。
しかし、「経理と相談して、また連絡します」と言われ、その場は引き取りました。
そして後日、信じられない回答が帰ってきました。「15日締め月末払いと、月末締めの15日払い の2回を現金で払うというので如何ですか」と。 何とも神様の声を聞いたような気分でした。 当時これで十分に資金が回ることが確定したのです。
これを結果的には同じじゃないかと思われる方、まだ余裕があります。 資金繰りに苦しんでいる方は、これがどれほど助かるか理解できますよね。 いわゆる「真水」が、ポンと発生したのですから。 本当に助かりました、今でも感謝しています。
上手くいったポイント
ということで、なぜ上手くいったのかポイントを3つにまとめてみました。
- 具体的な要求にまとめる:「手形を早めにくれ」など具体的に伝えれば、判断しやすくなります。
- 普段からのお付き合い:人間関係を作っておくのはやはり大切です。
- 真剣さ:腹をくくってお願いしに行けば、迫力が出ます。
「困ってますから何とかしてください」では、相手もどうしたら良いのか分かりませんし警戒します。 厚かましいようでも、「この条件でお願いします」と真剣に頼めば、上手くいくこともあります。
という、私の経験でした。 最後まで読んでいただきありがとうございました。
あなたの参考になりますように。