今回は、会社が破産したときに準備しておくべき未払賃金についてお話します。 一般的に給料の計算は締め日と支給日にズレがあるので、どのタイミングで破産しても未払い賃金というものは発生します。 結論からお話しますと、未払い賃金は従業員に渡してから破産するべきです。
破産時の未払賃金:準備不足が招いた後悔
「従業員の給与は最も優先される」。そんな話をどこかで聞いていた私は、「会社にその程度のお金は残っていそうだから、なんとかなる」と高を括っていました。しかし、実際に会社が破産に直面したとき、その考えがどれほど甘かったかを痛感しました。以下、私の準備不足による失敗と、破産時に知っておくべき未払賃金の現実を振り返ります。
破産を避け続けた経営者の葛藤
経営者として、長年必死で事業を回していました。多額の私財を投じても 会社を維持し従業員の雇用を維持することに尽力してきました。 資金繰りが厳しくて、「破産」という言葉が見え隠れする状態になっても、何度も乗り越えてきた壁だと思い、それを前提にした仕事は避けてきました。
今でも、「さっさと諦めて潰せばよかった」とは決して思いませんが、自分の手の内にどんなカードが残されているのかはきちんと確認するべきだったと思います。
従業員を待たせる未払賃金の現実
破産手続きでは、未払い賃金があったとしても、すぐには支払われません。債務と資産が確定し、債権者との話し合いや裁判所の許可を経て初めて分配が始まります。このプロセスは、早くて数ヶ月、通常なら1年以上かかることもあります。 金額的な優先順位は高いのですが、時間的にはすべて同じです。

未払賃金立替払制度の仕組みと限界
日本には、未払賃金を救済する「未払賃金立替払制度」というものがあります。独立行政法人労働者健康安全機構が、未払い賃金の最大8割を立て替えてくれる仕組みです。例えば、従業員30人で1人当たり月給10万円の未払いがあれば、総額300万円のうち240万円が対象になります。
ただし、これは管財人が選任され、財務状況が整理されてから手続きが進むので、2~3ヶ月はかかります。そして、手続きもかなり複雑です。 通勤手当や役職手当まで日割りにしたり、仮名目で支払っていた手当があると労働者健康安全機構や管財人から追求があったり、なかなか数字が固まりません。 私の会社では3ヶ月以上かかりました。
解雇予告手当の重い負担と優先順位
1ヶ月分の給与が追加で必要
破産では、解雇予告手当も大きな課題です。突然の解雇の場合、1ヶ月分の給与を別途支払う義務があります。未払い賃金の場合は、該当する期間が短いので準備することも出来そうですが、解雇予告手当も場合は丸々1ヶ月分です。 しかも、未払い賃金と同時に準備するという状況になるのですから、資金の負担はかなり大きいです。
資金不足で支払えない苦悩
また、この解雇予告手当は未払い賃金と違い配当の優先順位が高くありません。 大きな負債を抱えて破産する中、解雇予告手当まではなかなか支払えないだろうというのが現実です。

準備不足を繰り返さないための教訓
ここまでの流れで、「ちゃんと調べて準備してから破産しろよ」という話になろうかと思いますが、経営者たるもの「破産」なんて考えたくも無いものです。 しかも経営がギリギリで、毎日「破産」という恐怖が背後から迫ってきているのに、向き合えというのは困難なことです。
弁護士に相談する重要性
ただ、正体のわからない「破産」という漠然とした恐怖よりも、自分が取れる選択肢を広く知っておくことは先の判断に有意義だと思います。
私が今回、この部分で頼りになりそうだと思ったのは「弁護士」です。 コンサルタントも税理士も私の破産後の処理には登場しなかったので、生々しい現場の経験は少ない気がします。
「経営」と「弁護士」はあまり関係なさそうな気がしますが、会社を活かすか潰すかみたいな場面については、その辺りが専門の弁護士なら詳しく教えてくれるだろうと思います。
知っておけば取れる手段も変わってきます。 ぜひ余裕のある内に調べることをお勧めします。

最悪のシナリオに備える勇気
今回は破産時の未払い賃金をどう処理していくかという話から、その前に準備すべきことについてもお話しました。 私が自分の破産経験から学んだのは、「最悪のシナリオに備える勇気」です。破産は避けたいものですが、知っておくだけで選択肢が広がります。今回の未払賃金立替払制度や解雇予告手当のルールなど、細かいことを調べるのは大変です。 ますは専門家に相談して、今後想定される場面を知り、その対処を知っておくことが、従業員や自分を守る第一歩です。
もし今、経営に悩んでいるなら、私のような後悔を繰り返さないでください。専門家への相談や情報収集を、今日から始めてみませんか?
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