【債権者集会】最後は静かに終わった|破産者という肩書が消えた日

破産・倒産の手続き

最後の債権者集会は、14時半からでした。会社の分が前回で終わり、今回は自己破産の分です。

数日前までの天気予報では、雨混じりのはずでした。ところが当日の予報を見ると、降水確率は0%。バスの時間も一応調べてはいたのですが、結局、自転車で行くことにしました。

裁判所まで、30分ほど。途中、いつも通っているゴルフの練習場の裏道を通ります。

不思議なことに、「今日で終わるんだな」という安堵感よりも、言いしれぬ不安のほうが大きかったです。

今日の手続きが終われば、「破産者」という肩書きは消えます。それ自体は良いことのはずです。でも同時に、弁護士に連絡することも、裁判所に行くことも、もう何もなくなる。

誰からも何も求められなくなる。それが、少し怖かったのかもしれません。

裁判所には、いつものように30分前に到着しました。弁護士と合流し、法廷に向かいます。しかし今回は、時間ギリギリまで解錠されず、扉の前でしばらく待つことになりました。

入室後、管財人から資料を受け取ります。ほどなくして、開廷です。

いつも通りに始まった最後の集会

裁判長は、いつも通りカーディガン姿でした。特別な言葉もなく、いつも通りに手続きが始まります。

全員起立して1礼、「只今から、こいでのぼる氏に関する債権者集会を始めます」

「管財人は報告をお願いします」裁判長に指名され、管財人が説明を始めます。

管財人からは一言だけ、「資料の通り、任務は終了しました」と、資料は、管財人による「任務終了による計算報告書」です。

ところが、その報告が終わったあと、裁判長が少し怪訝な表情で資料をめくり始めたのです。

誰も何も言いません。裁判長が資料をめくる音だけが、静かな法廷に響きます。

「何か見落としがあったのか?」 そんな考えが、頭の中を一瞬で駆け巡りました。

やがて裁判長が顔を上げて言いました。

「あ、今日で終わりですね」

そっか、そっか、というような表情でした。管財人が「はい、そういう事です」と答えます。

法廷内にホッとした空気が流れました。

債権者として出席していたのは、メイン銀行の担当者が一人だけでした。裁判長が尋ねます。

「債権者から質問はありませんか?」

返答は短いものでした。

「ありません」

私は心の中で思いました。「あぁ、これで終わった」と。

ただ、ここで終わりではありませんでした。。裁判長が言います。

「管財人は、免責についての報告をしてください」

管財人は少し驚いたようにしたあと、「それ、前回やりましたよね?」という顔をしながら答えました。

「免責を否認する事項はありません」

否定の否定という、独特の言い回しです。

裁判長は、再び債権者に確認します。

「免責について、ご意見はありますか?」

答えは同じでした。

「ありません」

私は、もう一度思いました。「これで終わった」と。

「すべて終わります」と言われた瞬間

裁判長が言いました。

「それでは、本件は免責決定の処理を始めます」

まだ何かあるのかと思いましたが、裁判所側の書類作成の話だと理解しました。

そして最後に、裁判長がこちらを見て言いました。

「これにて、こいでのぼるさんの自己破産に関する処理をすべて終わります」

そのとき、しっかり目が合いました。私は無言で、頭を下げました。

そういえば、始まりの挨拶のときも目が合っていました。こちらが少し落ち着いてきた、というのもあるのかもしれません。

終わって時計を見ると、3分でした。ブログのためにしっかり見ておかなければ、などと考えられるくらいには、余裕も出ていました。

終わってからの立ち話と帰宅後のビール

いつものように、終わったあと一緒に出口へ向かいました。今回は、これまでの振り返りのような話もしながらで、少し立ち話のようになりました。免責決定の書類は、後日、弁護士のところに届くそうです。書類が届いたら、送ってくれるとのことでした。それが届いて、本当の意味での終了になります。

弁護士と別れて、帰路につきます。 帰りも自転車で同じ道を走りました。

帰宅後、スーパーに行ってビールを1本買いました。まだ15時過ぎでした。

せっかくなので、少しだけ高いものを選びました。「晴やか」みたいな名前がついていました。

祝杯という気分でもない。かといって、やけ酒とも違う。ただ、何か一区切りつけたいという気持ちだったのだと思います。

やることは、もうありません。あとは、書類を待つだけです。


自己破産の終わりは、思っていたよりも、ずっと静かでした。

何かが劇的に変わるわけでもありません。ただ、「すべて終わりました」と告げられる。そして生活は、そのまま続いていきます。

昨日は、そのぼんやりした境目の日でした。

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