【ご注意ください】
この記事は、**元会社経営者である筆者が、自身の倒産・自己破産手続きを通じて公的制度を徹底的に調査した、当事者としての実務的な記録です。**筆者は税理士や社会保険労務士などの専門家ではありません。国民健康保険料や住民税の減免制度は、自治体ごとに条件や手続きが異なります。また、世帯構成や所得状況によって適用可否が大きく変わります。
実際の手続きや制度の詳細については、必ずお住まいの市区町村の窓口または公式サイトでご確認ください。この記事の内容を参考にした結果について、筆者は一切の責任を負いかねます。
年末調整の書類準備で気づいた「扶養を外れる」という現実
自己破産の手続きを進めている最中、年金とアルバイトでなんとか月17万円の収入を得ている現在、私は家族の社会保険の扶養に入っていました。そのおかげで、国民健康保険料を払わずに済んでいたのです。
令和7年の年末が近づき、家族が会社に提出する年末調整の書類を準備していたとき、私の年間収入を確認した家族が言いました。
「この収入だと、来年は扶養から外れることになるね」
扶養基準は年収180万円未満(60歳以上の場合)。年金15万円とアルバイト2万円で月17万円、年間204万円の私は、明らかにこの基準を超えています。
この一言が意味するのは、令和8年1月からの国民健康保険への加入義務、そして令和9年度からの本格的な保険料・税金負担です。
試算してみると、令和9年度の負担は国保料11.5万円 + 住民税3.2万円 = 年間約15万円。しかし、「減免制度」を使えば約9万円に軽減できる可能性があります。
この年間6万円の差は、「制度を知っているか否か」で決まるのです。
なぜ私は扶養を外れるのか:年収51%減でも扶養基準を超える
倒産前と倒産後の収入
倒産前(令和7年1月):
- 役員報酬:額面35万円
- 年収換算:35万円 × 12ヶ月 = 420万円ペース
倒産後(令和7年5月~):
- 年金(繰上げ受給):15万円/月
- アルバイト:2万円/月
- 合計:月17万円 = 年204万円
所得の減少率:51%減
これだけ収入が減っても、年金15万円という金額は、60歳以上の扶養基準である「年収180万円未満」を超えてしまいます。さらにアルバイト収入2万円を加えると、年収204万円となり、明らかに扶養基準を超過します。
扶養を外れると何が起きるのか
扶養から外れることで、以下の負担が発生します。
- 国民健康保険への強制加入
- 保険料の自己負担が発生
- 住民税の本格負担
- 扶養控除の適用がなくなる
- 月17万円の収入から、年間15万円が税金・保険料で消える
倒産後、なんとか再スタートを切れたと思った矢先に、この現実が待っていたのです。
2段階で襲う負担:令和8年度は軽いが、令和9年度が本番
実は、国民健康保険料も住民税も、前年の所得を基に計算されます。このため、扶養を外れても、すぐに重い負担が来るわけではありません。
令和7年の実績収入と所得計算
私の令和7年の収入は以下の通りでした。
- 給与収入:45万円(1月の役員報酬35万円 + アルバイト10万円)
- 年金収入:90万円(5月分~10月分の6回)
- 合計収入:135万円
しかし、税務上の所得は控除後の金額で計算されます。
- 給与所得:45万円 – 55万円(給与所得控除)= 0円(マイナスなので0円)
- 雑所得(年金):90万円 – 110万円(公的年金等控除)= 0円(マイナスなので0円)
- 合計所得:0円
つまり、令和7年の所得は税務上「0円」として扱われるのです。
令和8年度と令和9年度の負担の違い
この「前年所得」の仕組みにより、負担は2段階で変化します。
| 年度 | 算定基礎(前年所得) | 国保料 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 令和7年所得0円 | 約2.4万円 | 約0.5万円 | 約2.9万円 |
| 令和9年度 | 令和8年所得70万円 | 約11.5万円 | 約3.2万円 | 約14.7万円 |
令和8年度は、前年所得が0円のため、均等割のみの負担で済みます(7割軽減も適用)。しかし、令和8年はフル年収(204万円)が発生するため、令和9年度の負担が一気に跳ね上がるのです。
この「1年目は軽い」という事実が、実は危険です。油断して何も準備しないまま令和9年度を迎えると、突然年間15万円の請求が来ることになります。
「月1.2万円」という数字が意味する重さ:生活費との兼ね合い
年間14.7万円を月額に換算すると、月1.2万円です。
月17万円の収入で生活している私にとって、この1.2万円は決して小さくありません。
現在の生活費の内訳(一例)
- 家賃:5万円
- 食費:3万円
- 光熱費:1.5万円
- 通信費:0.5万円
- その他(日用品など):1万円
- 合計:約11万円
収入17万円 – 生活費11万円 = 残り6万円
この6万円から、国保料と住民税で年間15万円(月1.2万円)を捻出しなければならないのです。
さらに、突発的な出費(医療費、冠婚葬祭など)を考えると、この1.2万円の負担は生活を圧迫します。
だからこそ、減免制度によって年間6万円を軽減できるという事実は、私にとって死活問題なのです。
国民健康保険料の仕組みと減免制度:世田谷区で試算
【試算についての注意】
以下の試算は、令和7年度の世田谷区の制度に基づく概算です。実際の保険料・税額は、自治体・年度・世帯状況により異なります。正確な金額は、お住まいの自治体にお問い合わせください。
また、この記事で紹介している減免制度の情報は、筆者が事前に調査した一般論であり、**実際の申請経験に基づくものではありません。**必要書類や手続きの詳細、令和10年度以降の減免継続可能性については、必ずお住まいの自治体で最新情報をご確認ください。
保険料の計算構造
国民健康保険料は、以下の2つで構成されています。
- 所得割:前年の所得に応じて計算される部分
- 均等割:世帯の加入者数に応じた定額部分
さらに、保険料は以下の3つの区分に分かれています。
- 基礎分(医療分)
- 支援金分(後期高齢者支援金)
- 介護分(40~64歳のみ)
私のケースでの計算(世田谷区・60代・介護分あり)
令和8年の所得を基に、令和9年度の保険料を試算します。
所得の計算:
- 年金収入180万円 – 公的年金等控除110万円 = 雑所得70万円
- 給与収入24万円 – 給与所得控除55万円 = 給与所得0円
- 合計所得:70万円
保険料の計算:
- 所得割:(70万円 – 43万円[基礎控除]) × 12.65% = 34,155円
- 均等割:80,700円
- 年間保険料:114,855円 ≒ 11.5万円
減免制度の存在
しかし、ここで重要なのが減免制度です。
世田谷区には、「倒産・廃業による所得激減」を理由とする特例減免制度があります。
適用条件:
- 前年の所得が250万円以下
- 倒産・廃業により所得が著しく減少した
私のケース:
- 倒産前の年収:420万円ペース
- 現在の年収:204万円
- 減少率:51%減 → 条件を満たす
減免の割合は自治体の裁量によりますが、仮に3割減免が認められた場合、11.5万円 × 70% = 約8万円に軽減されます。
住民税も減免できる:世田谷区と名古屋市の比較
住民税の計算(私のケース)
住民税は、所得割と均等割で構成されます。
課税所得の計算:
- 合計所得70万円 – 基礎控除43万円 = 課税所得27万円
税額の計算:
- 所得割:27万円 × 10% = 27,000円
- 均等割:5,000円(区市町村民税3,000円 + 都道府県民税1,000円 + 森林環境税1,000円)
- 年間住民税:32,000円 ≒ 3.2万円
住民税の減免制度
住民税にも、国保料と同様の減免制度があります。
世田谷区と名古屋市の比較:
| 項目 | 世田谷区 | 名古屋市 |
|---|---|---|
| 所得基準 | 前年250万円以下 | 前年210万円以下 |
| 減少基準 | 著しい減少 | 前年の1/2以下 |
| 減免額 | 全額または一部 | 全額または一部 |
| 必要書類 | 廃業届、雇用保険受給資格者証等 | 廃業届、離職票等 |
| 申請期限 | 納期限まで | 納期限まで |
私のケースでの適用可能性:
- 世田谷区・名古屋市ともに所得基準を満たす
- 倒産・廃業を理由とする減免申請により、全額または一部減免が期待できる
仮に全額減免が認められた場合、住民税は0円。一部減免の場合でも1万円前後に軽減される可能性があります。
なぜ複数の自治体を比較するのか
この記事を読んでいる方は、全国各地にいらっしゃいます。世田谷区と名古屋市を比較することで、「自分の住む自治体にも同様の制度があるかもしれない」と気づいていただくためです。
減免制度は市区町村ごとに条例で定められているため、必ずご自身の自治体のホームページや窓口で確認してください。
減免申請の実務準備:まだ経験していないが、こう備えている
私はまだ実際に減免申請を経験していません。しかし、令和9年6月に令和9年度の国保料・住民税の通知が届いた瞬間、すぐに動けるよう、今から準備を進めています。
必要書類の事前確認
減免申請には、以下の書類が必要になると予想されます。
- 事業廃止(廃業)届の控え
- 倒産・廃業の事実を証明する最も重要な書類
- 破産手続き関連書類
- 破産手続開始決定通知書など
- 現在の収入を証明する書類
- 年金振込通知書
- 給与明細(直近3ヶ月分)
- 生活状況を説明する書類
- 家計簿や収支状況をまとめたもの(自治体によっては専用フォームあり)
これらの書類を、今のうちに整理し、いつでも提出できる状態にしておくことが重要です。
申請のタイミング戦略
減免申請のタイミングは、以下のように計画しています。
令和8年1月:
- 国保加入手続きと同時に、減免制度の詳細を窓口で確認
- 必要書類のリストを入手
令和8年6月:
- 令和8年度の国保料決定通知が届く
- 内容を確認(7割軽減が適用されているか)
- 必要なら減免申請
令和9年6月:
- ここが本番
- 令和9年度の国保料・住民税の通知が届いた瞬間に減免申請
- 納期限前に必ず申請を完了させる
窓口での説明シミュレーション
減免申請は「交渉」ではなく、「実情の説明」です。
窓口では、以下のポイントを客観的に伝える準備をしています。
- 倒産の経緯
- いつ倒産したか
- 破産手続きの状況
- 所得の激減
- 倒産前:年収420万円ペース
- 現在:年収204万円
- 減少率:51%減
- 現在の生活状況
- 年金とアルバイトで月17万円
- 家賃・食費・光熱費などの固定費
- 貯蓄はほぼゼロ
これらを数字で示すことで、「著しい所得の減少」と「生活困窮」を客観的に証明します。
幸い、私は会社経営時代から役所での手続きには慣れています。必要なのは、正確な書類準備と制度の理解だけです。
令和10年度以降の減免について
減免制度は原則として単年度ごとの申請が必要です。令和9年度に減免が認められても、令和10年度以降も自動的に継続されるわけではありません。
また、国民健康保険料の軽減・減免制度は、世帯全体の所得や世帯構成によって適用条件が変わります。単身世帯か、家族と同居しているか、家族に収入があるかなどによって、適用される制度が異なります。
令和10年度以降の減免や軽減の可能性については、ご自身の世帯状況に応じて、初回の減免申請時に窓口で確認することをお勧めします。
減免で確保できる「6万円」の価値:アルバイト3ヶ月分
減免申請により、どれだけの負担を軽減できるのか、改めて整理します。
| 項目 | 減免なし | 減免あり | 差額 |
|---|---|---|---|
| 国保料 | 11.5万円 | 8万円(3割減免想定) | 3.5万円 |
| 住民税 | 3.2万円 | 1万円(一部減免想定) | 2.2万円 |
| 合計 | 14.7万円 | 9万円 | 5.7万円 |
年間で約6万円の軽減効果が見込めます。
この6万円が意味するもの
月2万円のアルバイト収入で計算すると、6万円はアルバイト3ヶ月分の収入に相当します。
月17万円の収入で生活している私にとって、この6万円は以下のような意味を持ちます。
- 生活費1ヶ月分の余裕
- 突発的な医療費への備え
- わずかな貯蓄の確保
減免制度を「知っている」か「知らない」かで、この差が生まれるのです。
「知識」が再建の第一歩。制度を使い倒して土台を固める
国民健康保険料の減免制度も、住民税の減免制度も、「知っているか否か」で年間6万円の差が生まれます。
扶養を外れることが決まった今、私は令和9年度の本格負担に備えて、減免制度の研究を進めています。まだ実際の申請は経験していませんが、準備をしている事実そのものが、不安を軽減しています。
倒産後の再スタートを目指す読者の方々には、利用できる制度は徹底的に利用することを強くお勧めします。
これは「施し」を受けることではなく、納税者の権利として用意された制度を正当に利用することです。
この一歩が、真の再建の土台となります。
【筆者について】
元製造業経営者(従業員30名規模)。令和7年に会社倒産、現在自己破産手続き中。年金とアルバイトで月17万円の収入を得ながら、公的制度を徹底的に調査し、再スタートのための実務的な知識を記録しています。税理士や社労士などの専門家ではなく、あくまで「当事者としての実務経験」を共有するサイトです。
【この記事について】
- この記事は、筆者の個人的な経験と調査に基づいた記録です。
- 国民健康保険料・住民税の制度は自治体ごとに異なり、頻繁に改定されます。
- 実際の手続きや申請については、必ずお住まいの市区町村の窓口または公式サイトで最新情報をご確認ください。
- この記事の内容を参考にした結果について、筆者は一切の責任を負いかねます。


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