経営歴20年以上、地域で老舗として一目置かれる企業を経営してきました。長年にわたり堅実な経営を続けてきましたが、構造不況により2020年頃に深刻な資金繰り危機に直面しました。
この記事では、その際にクレジットカードのキャッシングを利用した実体験を通じて得た教訓を、同じ境遇の経営者の皆様への情報提供と注意喚起として共有いたします。
1. 経営危機の実態:20年の歴史が直面した構造的問題
危機に至った背景
2020年頃、私の会社は深刻な資金繰り危機に陥りました。実は、20年連続で売上減少が続いており、業界全体の構造不況の影響を受けていました。様々な改善策を試みましたが、なかなか功を奏さない状況が続いていました。
経営管理の盲点
当時の私には大きな問題がありました。経理業務を完全に担当者に任せきりにしていたのです。長年、経理は「ブラックボックス」状態で、私自身は財務の詳細を把握していませんでした。
銀行から要求されて資金繰り表は作成していましたが、その内容は「数日先も見通せない」という、お恥ずかしい状況でした。これが今回の危機の根本的な原因でした。
突然の危機発生

ある日、経理担当者から「給料が払えません」と告げられました。給料日まで数日という切迫した状況でした。
「いくら必要ですか?」と聞くと、「50万から100万円」との返答。前もって分かっていれば他の調達方法もあったでしょうが、数日後となると選択肢は限られます。
当時の金融環境:
- 銀行の新規融資は完全にストップ
- メインバンク、サブバンク合わせて3行と交渉済み
- 政策金融公庫や他の金融機関とも交渉中
- すべて思うような結果が得られない状況
2. 資金調達専門家からの緊急対応アドバイス
専門コンサルタントとの相談
困った私は、以前からお付き合いのあった資金繰り専門のコンサルタントに電話しました。この方は銀行出身で、資金調達の専門家として多くの企業をサポートしている方でした。
私が事情を説明すると、即座に「社長、お金が借りられるクレジットカードは何枚お持ちですか?」と聞かれました。
提案された選択肢
「あります」と答えると、「こういう急場はそれで凌ぐしかありませんよ」とアドバイスされました。
他の選択肢について:
- 消費者金融という選択肢もありましたが、コンサルタントは推奨しませんでした
- 数日という短期間で調達できる手段は、実質的にキャッシングのみでした
- 専門家が瞬時に適切な判断をしてくれたことに驚きました
3. 緊急資金調達の実行:手順と注意点の詳細記録
利用したカードと準備
持っていたクレジットカードをすべて準備しました:
- 楽天カード
- 百貨店系クレジットカード
- その他数枚
戦略: キャッシング利用可能額の高いカードから順番に利用することにしました。

ATM操作の実際
銀行のATMに向かいます。正直、「これをやってしまうのは危険だ」という気持ちがありました。しかし、一時的に借りるだけと決めて操作を開始しました。
操作の簡単さ:
- 自分の預金を引き出すのとほぼ同じ感覚
- 特別な書類や本人確認は不要
- 借り入れ条件は画面に表示されますが、緊急時はゆっくり読める状況ではありませんでした
結果として50万円を調達し、経理担当者に渡すと「とりあえず、これで大丈夫だと思います」との返答。「あと50万円まで対応できます」と伝え、当面の危機は回避できました。
4. キャッシング返済の実態:想定外の手続きと費用詳細

返済方法の調査で直面した問題
月末に売掛金の入金があったため、借りた資金を返済しようとATMに向かいました。しかし、クレジットカードを挿入しても「返済」という項目がありません。
インターネットで調べても、明確な返済方法の情報がなかなか見つからず困惑しました。
実際の返済システム
調査の結果、以下のことが判明しました:
基本的な返済方法:
- 5年の分割払いが基本設定
- 銀行口座からの自動引き落とし
- 一括返済には電話での手続きが必要
カード会社との交渉
一括返済を希望し、カード会社に電話しました。応対は正直、あまり良いものではありませんでした。向こうとしては長期間借りてもらって利息を得たいのが本音でしょう。
手続きの煩雑さ:
- 振込口座の確認(手書きメモ)
- 返済金額の再計算
- 返済期限の設定
実際の利息負担
利息の詳細:
- 年利約14%の日割り計算
- 借入期間:約1週間
- 当初「数十円から数百円程度」と考えていましたが、実際は数千円の負担
短期間でも相当な利息がかかることを実感しました。
5. 危機から学んだ教訓:予防的経営の実践方法

資金繰り管理の改善
この経験から、以下の改善を行いました:
①資金繰り表の見直し
- 自分にとって分かりやすい形式で作成
- 最低1か月先までの見通しを立てる
- 週次での更新を徹底
②経理体制の刷新
- 経理担当者を退職していただき、自分で管理することに
- 信頼できる経理担当者の重要性を痛感
- 経理業務の「ブラックボックス化」を解消
緊急時調達手段の事前準備
社長の現金準備の重要性:
- 代替調達手段として、社長個人の資金準備が必要
- 複数のクレジットカードの保有(結果的に300万円程度まで調達可能な状態を構築)
- ただし、使わないで済むのが最善
高金利借入のリスク管理指針
計画的利用の基準:
- 必ず短期返済できる見込みがある金額に限定
- 資金繰り表で入金時期を確実に把握
- 入金があったら即座に返済
- 返済できない場合は他の方法を検討
6. 他の資金調達手段との比較

緊急時の選択肢の限界
今回の経験で分かったことは、緊急時の資金調達手段は非常に限られるということです。
各手段の特徴:
- 銀行融資: 時間がかかり、緊急時には不向き
- 消費者金融: 専門家が推奨しない(信用情報への影響)
- キャッシング: 即座に調達可能だが高金利
専門家への相談の重要性
資金調達手段については、私自身も多くを知りません。重要なのは信頼できる専門家との関係構築です。
注意点:
- 変なところから借りると信用情報に悪影響
- 専門家の意見を聞くことで適切な判断が可能
7. 同じ境遇の経営者への提言
予防策の実践
①財務管理の透明化
- 経理のブラックボックス化を避ける
- 定期的な財務状況の把握
- 早期警告システムの構築
②信頼できる支援体制の構築
- 資金繰り専門のコンサルタントとの関係維持
- 複数の金融機関との良好な関係
- 経営者同士の情報交換
緊急時の心構え
①冷静な判断
- 焦らず、専門家の意見を聞く
- 複数の選択肢を検討
- 短期的な解決策と長期的な改善策を分けて考える
②責任ある利用
- 必ず返済できる範囲での利用
- 利息負担を最小限に抑える工夫
- 根本的な経営改善への取り組み
まとめ:経営者としての学びと注意喚起

この体験を通じて学んだことは、日常の財務管理の重要性と緊急時の備えの必要性です。
重要なポイント:
- 予防が最重要: 資金繰り管理の徹底で危機を回避
- 専門家の活用: 適切な判断のためのアドバイザーとの関係構築
- 計画的な利用: 緊急手段は短期返済を前提とした利用に限定
- 継続的な改善: 根本的な経営体質の改善が不可欠
読者の皆様への注意喚起:
- この記事は個人の体験談であり、専門的なアドバイスではありません
- 金融商品の利用は、各自の判断と責任で行ってください
- 困った際は、必ず専門家にご相談ください
資金繰りに苦しんでいる経営者の方々には共感していただけると思います。使うか使わないかは別として、「いざという時の選択肢がある」という安心感は、経営者の心理的負担を軽減してくれます。
しかし、最も重要なのはそのような緊急事態に陥らないための予防的な経営管理です。この記事が、同じ境遇の経営者の皆様の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。この体験談が皆様の経営にとって有益な情報となることを願っております。
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コメント
昔知人の会社が倒産し、自◯しました。本人はもちろんですが、残された家族の大変さは計り知れないものがありました。
だから、こうした経験を知ることで、そうした辛い方々が減っていくとよいと心から思います。
ねこさん
コメントありがとうございます。
まだまだ力不足ですが、誰かの参考になればと思って書いています。