はじめに
会社の倒産、そして個人の破産。それまで当たり前だった日常が、一変しました。
ゴルフもその一つです。35年続けてきた趣味でしたが、破産後は1年以上、まったくクラブを握ることができませんでした。この記事では、久しぶりに練習場へ足を運んだ日のことを書きます。
ゴルフは生活の一部だった
ゴルフ歴は、もう35年くらいになります。調子が良い頃は、年間30ラウンドほど回っていました。仕事の延長のような側面もありましたが、私にとってゴルフは、生活の一部のような存在でした。
ところが、会社の状況が悪くなるにつれて、ゴルフに行く回数は少しずつ減っていきました。倒産前の数年間は、年間10回ほど。そして会社が倒産し、個人としても破産してからは、まったく練習にも行っていませんでした。
娘婿からの誘い
娘とその夫は他県に住んでいます。帰省のたびに一緒にお酒を飲むのですが、彼とはいつもゴルフの話で盛り上がっていました。
「いつかご一緒しましょう」と何度も言ってくれていたのですが、こちらの事情もあり、私は「まぁ、そのうち」と曖昧な返事をするばかりでした。
正直に言えば、誘いを断っているというより、自分の中で線を引いていたのだと思います。
そんな中、今度の年末に帰省する際、「ぜひそちらで一緒に回りましょう」と改めて声をかけてくれました。こちらの事情を察した上で気を使ってくれているのも分かります。ここで断るのは、さすがに申し訳ない気がしました。
そこで思い切って承諾しました。すると不思議なもので、その瞬間に自分の中で何かのスイッチが入りました。
8,000円の決断

「いつかは復活したい」と思っていた気持ちは、ずっとどこかに残っていたのだと思います。実際、素振りだけは欠かさず続けていました。
ラウンドに向けて練習をするため、近所の練習場に再入会することにしました。入会金が3,000円、それにカードへのチャージが5,000円。合わせて8,000円です。
破産後の生活では、決して軽い負担ではありません。それでも、この8,000円は自分自身へのチャージでもありました。心の拠り所というか、生きる張り合いを取り戻すための投資だと思いました。
大きな車から自転車へ
練習用に、クラブが数本入る簡易的なクラブケースを買いました。キャディバッグではなく、自転車に乗って練習場へ行くためのものです。
以前は、大きな車に乗って練習場へ向かっていました。それが今は、自転車に小さなクラブケースを担いで。
正直なところ、傍から見たら「可哀想に」と思われるだろうなという自意識はありました。知り合いに見られるのも嫌なので、表通りは避けて通いました。
それでも、久しぶりに練習場へ行って球を打ってみると、思ったほど腕が落ちたとは感じませんでした。ラウンドした結果がどうなるのかについては自信がありませんが。
「先輩」からの学び

ある日、練習帰りに自転車に乗ろうとしていると、同じようにクラブケースを肩から下げた年配の方が近づいてきました。その方は、私とは逆の向きでクラブケースを担いでいました。普通のキャディバッグとは前後が逆さまになる担ぎ方です。
その瞬間、私はハッとしました。実は私自身、今までの方法で担いでいてずっと違和感というか、不安定さを感じていたのです。
試しに、その「先輩」の担ぎ方を真似してみました。すると、驚くほどしっくりきました。重さのバランスも良く、肩への負担も少ない。なぜ最初からこうしなかったのかと思うほどでした。
「まだまだ知らないことは多いな」
正直、そんな言葉が自然に浮かびました。
少しだけ戻ってきたもの
破産してから、失ったものばかりに目が向いていた時期もありました。でも、こうして久しぶりにゴルフの練習に行き、思いがけない気づきを得ている自分がいます。
大きな話ではありません。ただ、生活の張り合いのようなものが、少し戻ってきた気がしました。
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※本記事は個人の体験談です。破産手続き中の行動や支出については、必ず担当の弁護士にご相談ください。


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