はじめに:倒産時のリース物件処理について知っておくべきこと
会社の倒産は突然訪れるもので、その際にリース契約している物件や設備の処理について混乱することが多いものです。本記事では、実際に倒産を経験した経営者の視点から、リース物件の処理方法と見落としがちな債務について詳しく解説します。

実体験:私の会社で起こったリース物件の処理
契約していたリース物件の種類
私の会社では倒産時に以下のリース契約を結んでいました:
- フォークリフト(物流・倉庫作業用)
- 電話装置(ビジネスフォン)
- コピー機(事務用)
- 自動販売機(従業員用・室内設置)
- フロアマット(玄関・社内各所)
当時の私は倒産処理で頭がいっぱいで、リース物件の処理なんて全く分からない状況でした。しかし、弁護士や管財人は慣れたもので、「リース物件は何がありますか?」と最初から確認項目に入っていました。

管財人によるリース物件の処理手順
1. リース物件のリストアップ
- 管財人から「リース物件は何がありますか?」と質問
- 契約書の提出を求められる(これが意外と大変)
2. リース会社への連絡
- 管財人がリース会社に連絡
- 返却スケジュールの調整
3. 実際の回収作業 私の会社の場合、リース物件の回収は思ったより急がされることはありませんでした。約3ヶ月程度は使用を続けることができ、電話装置は即日不要でしたが、コピー機とフォークリフトは業務に必要だったため、先方が指定した日まで利用させてもらいました。
見落としがちなリース物件:フロアマットの落とし穴

忘れられやすいリース契約
大型設備は目につきやすいのですが、以下のような物件は見落としがちです:
- フロアマット・玄関マット
- 観葉植物のレンタル
- ウォーターサーバー
- 清掃用品のレンタル
- 制服・作業着のレンタル
実際に起こったフロアマット回収の話
私の会社では、フロアマットの存在を完全に忘れていました。玄関マットをはじめ、社内の数カ所にレンタルマットを設置していましたが、毎月の交換料金を支払っているだけの小さな契約だったため、倒産時の処理から漏れてしまいました。
倒産告知(Xデー)から約2ヶ月後、たまたま事務所に用事で来ていた時に、社名もロゴもない車が玄関前に停車。「どこかの人が文句を言いに来たのか?」とドキドキしましたが、「○○マットです、回収させてもらっていいですか?」という話でした。
その時の担当者の方には本当に申し訳なく思いましたが、回収時に「また何かありましたらよろしくお願いします」と言われた際は、心の中で「それは無理ですよ…」と思ってしまいました。
倒産時の主要な債務について

倒産処理で扱われる主な債務
倒産時には様々な債務が存在しますが、管財人や弁護士が整理する主要な債務は以下の通りです:
主要債務
- 買掛金・未払金(取引先への支払い)
- 未払い給与・賞与・退職金
- 銀行借入金・信用保証協会の保証債務
- 税金関係(法人税、消費税、固定資産税等)
- 賃貸料・共益費
意外と見落としがちな小額債務
- レンタル・サブスクリプション契約(本記事のフロアマット等)
- 定期的な保守契約(エレベーター、エアコン等)
- 各種保険料の分割払い
- 電話・インターネットの付帯サービス
- 会計ソフトなどの定期サービス
小額債務で注意すべきポイント
自動引き落としの契約
- 口座から自動で引き落とされる小額の契約は忘れがちです
- 会計ソフトなどの定期サービスは、解約手続きを忘れると倒産後も引き落としが続く場合があります
- 管財人との打ち合わせ時に、これらの契約も必ず報告することが重要です
倒産時のリース物件処理で学んだ教訓

管財人との連携が重要
リース物件の処理は、基本的に管財人が主導して行いますが、経営者として以下の点を心がけることが大切です:
- 契約書の整理:日頃からリース契約書を整理しておく
- 物件の把握:社内にあるリース物件を定期的に棚卸しする
- 小額契約の管理:フロアマットのような小額契約も記録しておく
リース会社の対応は意外と柔軟
私の経験では、リース会社の対応は思ったより柔軟でした:
- 回収を急がない(3ヶ月程度の猶予)
- 業務に必要な機器は使用継続を認めてくれる場合がある
- 回収スケジュールをこちらの都合に合わせてくれることがある
ただし、これは私の会社のケースであり、契約内容や状況によって対応は変わる可能性があります。
まとめ:倒産時のリース物件処理で覚えておくべきこと
重要なポイント
- リース物件は管財人が主導して処理する
- 回収は意外とゆっくりしたペースで行われることが多い
- 小額のレンタル契約(フロアマットなど)は見落としがち
- 契約書の整理と物件の把握が事前準備として重要
債務管理の重要性
- リース債務だけでなく、様々な債務が存在することを認識する
- 定期的な債務の棚卸しを行う
- 専門家(弁護士、税理士)との連携を密にする
会社の倒産は誰にとっても辛い経験ですが、適切な処理を行うことで、関係者への迷惑を最小限に抑えることができます。この記事が、同じような状況に直面している方の参考になれば幸いです。
免責事項 本記事は筆者の実体験に基づいて書かれており、全てのケースに当てはまるものではありません。倒産処理については、必ず専門家にご相談ください。
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