※この記事は、あくまで一経営者の個人的な体験談です。税金の取り扱いは状況により異なります。滞納を推奨するものでは一切ありません。必ず税理士・税務署等の専門家にご相談ください。
※この体験談は、租税債権の取り扱いの一般論を保証するものではありません。必ず読者ご自身の状況に基づき、専門家にご相談ください。
はじめに:赤字でも消える税金、消えない税金
会社が赤字になると、法人税は発生しません。
しかし、消費税と事業所税は別です。赤字であろうと、売上があれば消費税は発生し、一定規模以上の事業所であれば事業所税も発生します。
私の会社は15期連続赤字でしたが、消費税と事業所税は毎年発生していました。
年間で消費税が約400万円、事業所税が約150万円。合計で約550万円です。
資金繰りが厳しくなると、この税金が重くのしかかってきました。
そして、私は税務署と交渉しながら、3年間にわたって分納を続けることになりました。
この記事は、その実録です。
中小企業が払う主な税金

まず、中小企業が支払う主な税金について、簡単に説明します。
法人税
会社の利益に対してかかる税金です。赤字の場合、法人税は発生しません。
私の会社は15期連続赤字でしたので、法人税は支払っていませんでした。
消費税
消費税は、売上にかかる税金です。正確には、「預かった消費税」から「払った消費税」を差し引いた金額を納付します。
預かった消費税(売上の10%)
- 払った消費税(仕入れや経費の10%)
= 納付する消費税
赤字であっても、売上があれば消費税は発生します。
私の会社の場合、年間で約400万円の消費税が発生していました。
消費税は国税であり、管轄は税務署です。
元々預かったお金とはいえ、赤字企業にとって、消費税は最も重い負担の一つです。実際、消費税の滞納額は他の税金を大きく上回り、全滞納の約60%を占めているとも言われています。
事業所税
事業所税は、人口30万人以上の都市等が課税する地方税です。都市環境の整備及び改善に関する事業の費用に充てるための目的税です。
計算方法は以下の通りです。
- 資産割:床面積1m²につき600円
- 従業者割:従業者給与総額の0.25%
私の会社は従業員30名規模で、床面積もそれなりにありましたので、年間で約150万円の事業所税が発生していました。
事業所税は地方税であり、管轄は市町村です。
資金繰りが苦しくなり、税金が払えなくなった

業績の悪化により、資金繰りが厳しくなってきました。
法人税は赤字なので発生しませんが、消費税と事業所税は容赦なく発生します。
年間で約550万円。月に換算すると約46万円です。
しかし、私の会社は資金繰りにムラがありました。売上と入金のタイミングが偏っており、ある月は潤沢でも、ある月は支払いに追われるという状況でした。
税金の納期に合わせて資金を確保することが、次第に難しくなっていきました。
税務署との分納交渉
資金繰りが厳しくなり、税金を一括で支払うことができなくなった時、私は税務署に電話で相談しました。
督促状は来なかった
社会保険料の滞納では督促状が来ましたが、税金の場合、督促状は来ませんでした。
おそらく、私が早い段階で税務署に連絡を入れたためだと思います。
教訓:払えないと分かった時点で、早めに相談することが重要です。
電話での交渉
税務署との交渉は、すべて電話で行いました。税務署に出向いて談判したことは一度もありません。
私の提案は、以下のようなものでした。
「資金繰りにムラがあるため、期限内には払えません。しかし、半年後に大きな入金があるので、その時に支払います。それも3分割程度でお願いしたいです」
具体的な納付計画を伝えることがポイントでした。
「11月に〇〇円、12月に〇〇円、1月に〇〇円」という形で、資金繰りの見通しに合わせた計画を提示しました。
普通は均等に分割するらしいのですが、私の場合は特別扱いしてもらっていたのかもしれません。
対応は事務的だが柔軟
税務署の担当者は、柔軟に対応してくれました。
ただし、対応は事務的でした。社会保険の年金事務所と比べると厳しいなという、温度感の違いを感じたのも事実です。
しかし、しっかりと事情を説明し、具体的な納付計画を示せば、理解してもらえました。
重要なのは、誠実に対応することだと思います。
2年目のトラブル:担当者が変わった

最初の年は、電話だけですんなりと分納の交渉ができました。
しかし、2年目に担当者が変わりました。
新しい担当者は、こう言いました。
担当者:「書類を揃えて、税務署まで出てきてください」
私:「去年は電話だけで済みましたけど」
担当者:「いえ、こういう件を電話で済ますというのはありえませんので」
私:「調べてもらったら分かるんですけど、去年はそちらには伺っていませんし、書類も出していません」
担当者は「確認します」と言って、一度電話を切りました。
後日、連絡があり、「そのままで結構です」となりました。
担当者が変わると対応も変わることがあるので、過去の経緯をしっかり伝えることが大切です。
中間決算で納付額を減らす工夫
私の会社は5月決算でした。
消費税には「中間納付」という制度があります。年間の消費税を2回に分けて納付する制度です。
通常、年間400万円の消費税であれば、中間納付で200万円、決算時に残りの200万円を納付します。
しかし、資金繰りにムラがある私にとって、200万円という金額は大きすぎました。
そこで、中間決算という方法を使いました。
中間決算では、1月から6月までの実績で消費税を計算します。私の場合、この期間の消費税は約100万円でした。
中間納付額を200万円から100万円に減らすことができたのです。
もちろん、決算時には残りの300万円を納付しなければならないので、年間の合計は同じです。
しかし、資金繰りのタイミングを調整できたことは、大きな助けになりました。
中間決算は、資金繰りが厳しい会社にとって有効な手段の一つです。税理士に相談してみてください。
分納の実際:3年間の記録

消費税の分納:3年間
消費税の分納は、3年間続きました。
年によって資金繰りの状況が異なったため、分納の回数も変わりました。
- 100万円を3回に分けた年
- 150万円を2回に分けた年
このように、資金繰りの見通しに合わせて、柔軟に計画を立てました。
事業所税の分納:2年間
事業所税の分納は、2年間続きました。
事業所税は地方税であり、消費税とは管轄が異なりますが、対応は同様に柔軟でした。
コンサルタントの助言
当時、お世話になっていたコンサルタントから、こう言われていました。
「税金は特に厳しいので、しっかりと納めてくださいね」
この助言を守り、約束した納付計画は必ず守るようにしていました。
約束を守ることが、税務署との信頼関係を維持する鍵でした。
延滞税とコストの現実
分納をすると、延滞税が発生します。
私の場合、延滞税は年間で約5万円でした。
決して安い金額ではありませんが、一括で支払えない以上、やむを得ないコストでした。
倒産時の税金:残債は「ごめんなさい」

そして、会社が倒産を迎えました。
倒産時、税金の未払いは約50万円でした。
社会保険料の滞納が6,000万円だったことを考えると、税金は比較的少額でした。
しかし、この50万円も、結局は「ごめんなさい」することになりました。
破産手続きにおいて、租税債権(税金や社会保険料)は優先的に回収されますが、倒産4日後に売掛金が差し押さえられた際、社会保険と税務署の間で取り分が按分されたようです。
税金の滞納額が少なかったため、取り分も少なかったのでしょう。
社会保険も滞納していた
私は税金だけでなく、社会保険料も滞納していました。
社会保険料の滞納については、別記事で詳しく書いています。最終的に約6,000万円の滞納となり、倒産4日後に売掛金を差し押さえられるという事態になりました。
税金も社会保険料も、どちらも滞納してはいけません。しかし、もし滞納してしまった場合は、早めに専門家に相談し、誠実に対応することが重要です。
私が犯した失敗と教訓

振り返ると、私は以下の点で失敗していました。
① 根本的な資金繰り改善を怠った
分納で目の前の支払いを凌ぐことはできましたが、根本的な資金繰りの改善にはなりませんでした。
延滞税を払うくらいなら、早期に資金調達をして一括で支払うべきでした。
② 税務署に直接相談に行かなかった
電話で済んでしまったため、税務署に直接出向いて相談することはありませんでした。
もし行っていれば、他の支援制度や対策を教えてもらえたかもしれません。
③ コロナ猶予制度を活用しなかった
社会保険料はコロナ猶予を利用しましたが、税金については利用しませんでした。
面倒くさそうだったからです。
しかし、利用していれば、もう少し資金繰りに余裕ができたかもしれません。
滞納する前にやるべきだったこと
今振り返れば、以下のような対応を取るべきでした。
早期の資金調達
税金を滞納する前に、何らかの手段で資金を調達すべきでした。当時はファクタリングという選択肢を知りませんでしたが、知っていれば違った選択ができたかもしれません。
税理士との密な連携
税金の計算や支払いに関しては税理士と緊密にやり取りしていましたが、経営あるいは会社の建て直しについても相談してみるべきだったのかも知れません。
根本的な事業改善
分納は延命策に過ぎません。根本的な事業改善や、場合によっては早期の撤退を決断すべきでした。
まとめ:税金は「交渉できる」が「逃げられない」

税金の滞納は、社会保険料と同様に、決して推奨できるものではありません。
しかし、私の経験から言えることは、税務署は意外と柔軟に対応してくれるということです。
- 早めに相談する
- 具体的な納付計画を伝える
- 約束を守る
この3つを守れば、分納の交渉は可能です。
ただし、分納は延命策に過ぎません。延滞税というコストも発生します。
本当にやるべきことは、滞納する前に資金を調達し、根本的な資金繰りを改善することです。
私は「良いですよ~」と軽くハンコを押したことから社会保険の滞納が始まり、税金の分納も3年間続けました。
しかし、最終的には倒産という結果になりました。
この記事が、同じような状況にある経営者の方の参考になれば幸いです。
※この記事は個人の体験談です。税金の取り扱いは状況により異なります。滞納を推奨するものでは一切ありません。必ず税理士・税務署等の専門家にご相談ください。
著者プロフィール: 元製造業経営者として22年間会社を経営。15期連続赤字を経て会社破産・自己破産を経験。倒産・破産手続きの実務、資金繰り、従業員対応など、経営者として直面した課題を実体験に基づいて発信しています。
資金繰りの選択肢を知っておくことの大切さ
経営の現場で資金繰りに悩んだ経験から、改めて思うのは「もっと早く選択肢を知っておけば」ということです。
私は当時、ファクタリングという仕組みをよく知らず、結果的にクレジットカードのキャッシングに頼ってしまいました。
もしその時に今の知識があれば、違う選択をしていたかもしれません。
もちろん、ファクタリングが万能の解決策ではありませんし、手数料も決して安くありません。しかし「選択肢として知っておく」ことは重要だと思います。
同じように資金繰りで悩む経営者の方に向けて、私が後から調べた情報をまとめた記事があります:
🚫 審査に落ちた方向けの記事
👉 ファクタリング審査に落ちる理由とは?他社で断られた方も相談できる5社を紹介
審査に落ちる理由と、「他社で断られた方も相談可能」と明記している5社の情報をまとめています。
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📊 法人・中小企業向けファクタリング比較記事
👉 元経営者が選ぶファクタリング7社比較|資金繰りで悩んだ私が調べた情報まとめ
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⚠️ これらの記事も専門家の監修は受けていません。利用を検討される場合は、必ず税理士・会計士等の専門家にご相談ください。


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