はじめに:なぜこの失敗談を書くのか
「あの人は優秀だから、きっと経営のことも分かってくれるはず」
そう思って頼んだ経営相談が、半年後に自分から「申し訳ありませんが、一旦終わりにさせてください」と頭を下げることになるとは、当時の私は想像もしていませんでした。
こんな状況に陥っていませんか?
- 毎週の進捗報告がプレッシャーになっている
- 自分が信じていないアイデアを社員に伝えている
- 社内の雰囲気が悪くなってきた
- コンサルに相談したのに、むしろ迷いが増えた
私もそうでした。優秀な人だからこそ、かえって合わなかった──この失敗から学んだことをお話しします。
【重要な注意事項】 本記事は、筆者が過去に経験した出来事に基づいた個人的な見解を共有するものです。記事内の情報が、すべてのコンサルティングや経営状況に当てはまるわけではありません。経営判断はご自身の責任で行ってください。
IT支援の実績があったから「経営も大丈夫」と思い込んだ

彼女とはITプロジェクトで知り合いました。システムの導入や効率化で実際に成果を出してくれた実績があったので、信頼関係はできていました。
売上に悩んでいた私が「経営のことも相談できますか?」と聞いたとき、彼女は「もちろんです」と答えました。ITで結果を出してくれた人なら、経営でも何かヒントをくれるはず——そう期待したのです。
今思えば、これが最初の間違いでした。ITの専門性と経営コンサルの適性は、全く別物だったのです。
最初のズレ:私が本当に求めていたものを言えなかった
「売上を上げたい」
私は彼女にそう伝えました。でも、心の中で本当に思っていたのは、違うことでした。
私が本当に欲しかったのは「穴を塞ぐ方法」でした。
水が漏れているバケツに、いくら水を注いでも意味がありません。まず漏れている穴を見つけて、塞がなければならない。
- なぜ赤字なのか?
- どこでお金が漏れているのか?
- 構造的な問題は何なのか?
でも私は「売上を上げたい」としか言わなかった。だから彼女は「売上を増やす方法」を一緒に考えようとした。
この認識のズレに、どちらも気づいていませんでした。
「答えは社長の中にあります」という衝撃の一言

最初のミーティングで財務諸表を見せました。期待していたのは「ここの数字が問題ですね」とか「この部門の収益構造を変えましょう」といった具体的なアドバイスです。
ところが、彼女は資料をサッと眺めて終わり。
「売上を上げたいということですが、やりましょう!」
「答えは社長の中にあります」
この瞬間、何かがおかしいと感じました。私がほしかったのは外部の視点からの分析やアイデアだったのに、なぜか私が答えを出す流れになっている。
でも、優秀な人が言うことだから間違いないはず。そう自分に言い聞かせて続けることにしました。
ポストイット地獄:売上アップのアイデアを100個出したけれど…

彼女の提案で始まったのが、模造紙とポストイットを使ったブレインストーミングでした。
「とにかく思いつく限りのアイデアを書き出しましょう」
売上アップのための施策を、私が必死に考えて書き続けます。出てくるのは現実味のないものばかり:
- 広域に販促を展開する
- ホームページの企画を2倍にする
- 近隣の会社に飛び込み営業をする
- 新商品を10個開発する
でも彼女は「素晴らしいですね!」と全てを肯定的に受け止めます。そして驚いたのは、貼り付けたポストイット100枚近くの内容を、彼女が完璧に記憶していることでした。
「これじゃない」という違和感
ブレストが終わった後、100個のアイデアを見ながら、私は思いました。
「これじゃない。私が欲しいのは、新しいことを増やすことじゃなくて、漏れている穴を見つけることなんだ」
でも、それを彼女に言えませんでした。
- 知っている人だから言いにくい
- 「優秀な人が言うことだから正しいはず」
- ブレストの後に何か分析があるはず
- 途中で投げ出すのは良くない
そう自分に言い聞かせて、続けることにしました。
「全部同時にやりましょう」という現実離れした提案

ブレストが終わって、私は当然こう思いました:
「さて、この中のどれから始めればいいんだろう?」
ところが彼女の答えは想像を超えていました:
「とにかく始めていきましょう。毎週一回、進捗を伺いに来ます。」
彼女自身は全てのアイデアを同時に始めると思っていたようです。実際、そのくらい優秀で処理能力の高い人だったのでしょう。
でも私は凡人の経営者です。社員だって普通の人たちです。10個も20個も同時に進められるはずがありません。
このときのすれ違いが、その後の迷走の始まりでした。
毎週の進捗確認という名の尻叩き

彼女は完璧に記憶したアイデアリストを持って、毎週こう聞いてきます:
「ホームページの件、今週はどこまで進みましたか?」
「新商品開発の進捗はいかがですか?」
「広域展開の市場調査は終わりましたか?」
宿題を提出するような気分でした。でも、どれも現実的に進められるものではありません。
それを説明しようとすると「できない理由ではなく、できる方法を考えましょう」と言われる。確かに正論です。でも、私が求めていたのは正論ではなく、現実的なアドバイスだったのです。
自分が信じていないアイデアでは現場は動かない

それでも形だけは実行してみました。いくつかのアイデアを社員に伝えて、取り組んでもらおうとしたのです。
しかし結果は散々でした。
自分自身が半信半疑のアイデアを、社員が本気で取り組むはずがありません。
私の迷いは確実に現場に伝わっていました。「また社長が新しいことを言い出した」という空気が社内に漂うのを感じました。
どのアイデアも成果につながらず、ただ時間とエネルギーを消費するだけでした。
コンサルへの「遠慮」が失敗を招く構造
半年が経過したころ、私は限界を感じていました。
- アイデアは山ほどあるのに、どれも実行できない
- 毎週の進捗報告がプレッシャーになっている
- 社員との関係もギクシャクし始めている
- 何より、自分の経営者としての自信を失いかけている
なぜ正直に言えなかったのか
今思えば、途中で正直に伝えるべきでした:
「場当たり的な売上が欲しいのではなく、赤字の構造的な原因を分析したいんです」
でも言えなかった理由:
- 知っている人だから言いにくい
- 「優秀な人が言うことだから正しいはず」と思い込んでいた
- 途中で投げ出すのは失礼だと思っていた
結局、私の方から彼女にお願いしました:
「申し訳ありませんが、この話は一旦終わりにさせてください」
彼女は優秀でした。記憶力も素晴らしく、論理的思考もできる。でも、私たちには根本的なすれ違いがあったのです。
失敗の本質:求めているものを言語化できなかった

今振り返ると、失敗の原因がはっきり見えます。
1. 自分が求めているものを言語化できなかった
「売上を上げたい」と言ったが、本当に欲しかったのは「赤字の原因分析」「構造的な問題の特定」でした。
2. 最初のズレに気づいても、軌道修正できなかった
ブレストが始まった時点で「これじゃない」と感じたのに、「途中で変えるのは失礼」と思い込んで続けてしまいました。
3. 「信頼している人」だからこそ、率直に言えなかった
知っている人、優秀な人だからこそ、遠慮や我慢をしてしまった。その遠慮が、かえって両者を不幸にしました。
私が求めていたのは「アイデアを出してくれる人」ではなく、「一緒に穴を見つけて塞いでくれる人」だったのです。
彼女のスタイルは「社長の中にある答えを引き出す」コーチング型でした。一方、私が必要としていたのは「外部の視点から具体的な分析をしてくれる」アドバイス型でした。
どちらが正しいということではありません。ただ、お互いが求めているものが違っていて、それを言語化できなかっただけです。
この失敗から学んだ、私なりの3つの教訓

1. 「売上を上げたい」は依頼内容として不十分
「何をしたいか」だけでなく「なぜそれが必要か」「どんな状態を目指すか」まで具体化すべきでした。
良い例:
- 「赤字の原因を分析して、構造的な問題を見つけたい」
- 「水が漏れている穴を特定して、塞ぐ方法を知りたい」
- 「売上を増やす前に、無駄なコストを削減したい」
2. 「これじゃない」と思ったら、早めに正直に伝える
途中で方向性が違うと感じたら、それは「投げ出す」のではなく「軌道修正」です。
早い段階で率直に話し合えば、お互いにとって良い結果になった可能性があります。
3. 信頼している人だからこそ、遠慮せず率直に話す
「優秀な人が言うことだから正しいはず」という思い込みが、かえって問題を大きくしました。
信頼関係があるからこそ、違和感を正直に伝えるべきでした。遠慮や我慢は、誰も幸せにしません。
まとめ:失敗を次に活かすために
この体験は確かに失敗でしたが、大きな学びも得ました。
経営において「正解」を求めるのではなく、「一緒に試行錯誤してくれる人」を見つけることの大切さです。そして何より、自分が求めているものを、まず自分自身が言語化できていることの重要性です。
もしあなたがコンサルタントへの依頼を検討しているなら、この体験が「一つのヒント」になれば幸いです。
【チェックリスト】次に活かすために
- □ 「何をしたいか」だけでなく「なぜそれが必要か」まで言語化する
- □ 初回で方向性が合わないと感じたら、その場で率直に確認する
- □ 「途中で変える」のは失礼ではなく、むしろ誠実な対応だと理解する
- □ 契約前に「もし合わなかったら途中で軌道修正できますか?」と聞く
- □ 専門分野の実績と、依頼したい内容の適性は別物だと認識する
【執筆者について】
筆者は地方の製造業を経営していた元経営者です。創業90年の会社を引き継ぎ、資金繰り悪化、M&A交渉、自主再建の模索など、様々な経営課題に直面しました。本記事は、その実体験に基づく個人的な見解です。
最後に
この記事は特定の個人や企業を非難する目的で書かれたものではありません。あくまで私個人の体験を教訓として共有し、同じような悩みを持つ方の一助となることを目的としています。
彼女は今でも優秀なコンサルタントだと思っています。ただ、私たちの相性が合わなかっただけです。そして、その相性の問題に早く気づき、率直に話し合えなかった──それが私の最大の反省点です。
資金繰りの選択肢を知っておくことの大切さ
経営の現場で資金繰りに悩んだ経験から、改めて思うのは「もっと早く選択肢を知っておけば」ということです。
私は当時、ファクタリングという仕組みをよく知らず、結果的にクレジットカードのキャッシングに頼ってしまいました。
もしその時に今の知識があれば、違う選択をしていたかもしれません。
もちろん、ファクタリングが万能の解決策ではありませんし、手数料も決して安くありません。しかし「選択肢として知っておく」ことは重要だと思います。
同じように資金繰りで悩む経営者の方に向けて、私が後から調べた情報をまとめた記事があります:
🚫 審査に落ちた方向けの記事
👉 ファクタリング審査に落ちる理由とは?他社で断られた方も相談できる5社を紹介
審査に落ちる理由と、「他社で断られた方も相談可能」と明記している5社の情報をまとめています。
👤 個人事業主・フリーランス向けの記事
👉 個人事業主・フリーランスにおすすめのファクタリング5社比較
少額案件に対応している5社の比較情報。1万円から使える会社も紹介しています。
📊 法人・中小企業向けファクタリング比較記事
👉 元経営者が選ぶファクタリング7社比較|資金繰りで悩んだ私が調べた情報まとめ
元経営者が後から調べた7社の比較情報。手数料、審査期間、リスクなどを整理しています。
⚠️ これらの記事も専門家の監修は受けていません。利用を検討される場合は、必ず税理士・会計士等の専門家にご相談ください。


コメント