はじめに
「自己破産の手続きはどのくらいかかるのか」
これは、自己破産を検討している方が最初に気になることのひとつだと思います。ネットで調べると「3ヶ月で終わった」という人もいれば、「1年以上かかった」という人もいます。
なぜこれほど差があるのか。それは、自己破産には「同時廃止」と「管財事件」という2つのパターンがあり、どちらになるかで期間が大きく変わるからです。
私自身は、製造業を22年間経営してきましたが、2025年に会社倒産と自己破産を経験しました。会社破産に伴う自己破産の管財事件を経験し、当初半年の予定が1年になりました。その体験も交えながら、自己破産の流れと期間を解説します。
自己破産の流れ(全体像)
自己破産の手続きは、大きくこういう流れで進みます。
- 弁護士・司法書士に相談・依頼
- 書類準備・破産申立て
- 破産手続開始決定
- 同時廃止 or 管財事件に分岐
- 債権者集会(管財事件の場合)
- 免責確定
ステップ4で「同時廃止」か「管財事件」かに分かれます。ここが期間の差を生む最大のポイントです。

同時廃止の場合(目安:3〜4ヶ月)
同時廃止とは
財産がほぼない場合に適用されるパターンです。「破産手続の開始と廃止が同時に決定される」ことから「同時廃止」と呼ばれます。管財人が選任されず、手続きが比較的シンプルに進みます。カードローンや消費者金融の借金が中心の方はこちらになることが多いです。
流れと期間の目安
① 弁護士に依頼(受任通知) 弁護士に依頼すると、債権者への「受任通知」が送られます。この時点から督促が止まります。
② 書類準備・申立て(1〜3ヶ月) 収入証明、財産目録、債権者一覧など、必要書類を揃えて裁判所に申立てます。書類の準備期間が人によって異なるため、ここで時間がかかることがあります。
③ 破産手続開始決定・同時廃止決定(申立てから2〜4週間) 裁判所が申立て内容を審査し、開始決定を下します。同時廃止の場合、この開始決定と同時に破産手続が廃止されます。換価できる財産がないため、管財人を選任して手続きを続ける意味がないためです。「破産手続が始まった瞬間に終わる」というイメージです。
④ 免責審尋・免責確定(開始決定から1〜2ヶ月) 裁判官との面談(免責審尋)を経て、免責が確定します。同時廃止の場合、債権者集会はありません。
トータルで申立てから3〜4ヶ月程度が目安です。
管財事件の場合(目安:6ヶ月〜1年以上)
管財事件とは
ある程度の財産がある場合や、免責不許可事由が疑われる場合に適用されるパターンです。裁判所から管財人(弁護士)が選任され、財産の調査・換価・配当が行われます。同時廃止より手続きが複雑で、期間も長くなります。
また、管財事件は費用面でも同時廃止と大きく異なります。管財人への引継ぎ費用(予納金)が20万円程度必要になるケースが多く、期間だけでなく費用も増えることを覚悟しておく必要があります。
【補足】法人の代表者だった場合は管財事件が基本 会社の倒産に伴う自己破産の場合、個人の財産が少なくても、原則として管財事件として扱われます。調査事項が多くなるため、同時廃止よりも時間がかかるのが一般的です。
流れと期間の目安
① 申立て〜開始決定(1〜2ヶ月) 同時廃止と同様ですが、管財人への引継ぎ費用(予納金)が必要になります。
② 管財人の選任・面談 開始決定と同時に管財人が選任されます。財産の状況確認、書類の提出などが続きます。管財人面談の詳細はこちら。 → 【管財人面談】何を聞かれる?体験談|スマホ・通帳・服装で失敗しないために
③ 財産の換価・配当 不動産や金融資産などを換価し、債権者へ配当します。配当が発生する場合は手続きが長くなります。
④ 債権者集会 裁判所で債権者への報告を行います。
⑤ 免責確定 すべての手続きが終わり、免責が確定します。

私の場合:半年が1年になった理由
当初、管財人からは「半年程度で終わる見込み」という説明を受けていました。財産もほとんど残っていない状況でしたので、比較的シンプルなケースになると思っていました。
ところが、自宅の処分により「破産財団」に組み入れられる資金が発生しました。これにより債権者への配当手続きが必要になり、手続き期間が大幅に延長されることになりました。
少し補足すると、「破産財団」とは、管財人が管理する財産のまとまりのことで、ここに組み入れられた資産が債権者への配当原資になります。「配当」とは売却した自宅などのお金を債権者に配るための手続きです。配当が発生すると、債権者への通知や計算、実際の支払いなどのステップが追加されるため、その分時間がかかります。
早く区切りをつけて次のステップに移りたいと思っていただけに、正直がっかりしました。アルバイトも突然の呼び出しに対応する必要があり、安定した就職活動ができない状況が続くことになりました。
手続き中の生活への影響

自己破産の手続き中は、生活にいくつかの制約があります。
突然の呼び出しがある
管財人や弁護士から、急な書類提出や確認の連絡が入ることがあります。手続きが終わるまで、完全に気を抜くことはできません。
就職活動がしにくい
手続き中は突然の呼び出しに対応する必要があるため、正式な就職は難しい状況でした。私はアルバイトをしながら手続きの完了を待ちました。
郵便物が転送される
破産手続き開始決定が下りると、郵便物が管財人事務所に転送されます。詳しくはこちら。 → 【管財人面談】何を聞かれる?体験談|スマホ・通帳・服装で失敗しないために
注意:私のケースは特殊です
この記事でお伝えした体験は、会社破産に伴う自己破産の管財事件というケースです。
純粋な個人の自己破産とは、状況が大きく異なる可能性があります。会社の債務と個人の債務が絡み合っていたこと、自宅の処分が発生したこと、管財人との関係が会社破産から続いていたこと、これらは一般的な個人の自己破産では起こらないケースもあります。
「半年が1年になった」という私の体験は、あくまで例外的なパターンのひとつとして参考にしてください。
まとめ
自己破産の手続き期間は、同時廃止なら3〜4ヶ月、管財事件なら6ヶ月〜1年以上が目安です。
どちらになるかは、財産の状況や個別の事情によって異なります。私のように「半年のつもりが1年になった」というケースもあります。
焦らず手続きを進めることが大切です。管財人や弁護士の指示に従い、誠実に対応していれば、必ず終わりは来ます。
同じ状況にある方の、少しでも参考になれば幸いです。
免責事項
この記事は、会社破産に伴う個人の自己破産手続きを経験した筆者の体験記録です。法的アドバイスや専門的な見解を提供するものではありません。
自己破産の手続きは、個々の財産状況・負債の内容・裁判所の判断などにより、内容や期間が大きく異なります。この記事の体験がすべての方に当てはまるわけではありません。
自己破産を検討されている方は、必ず弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。本記事の内容をもとに行動された結果について、筆者は一切の責任を負いかねます。


コメント