「資金繰りが厳しい。返済を猶予してもらいたいが、銀行に相談したら見放されるのではないか」
そんな不安を抱えていませんか?
リスケジュール(返済猶予)の交渉は、経営者にとって最も精神的に追い詰められる瞬間の一つです。銀行員にすべてを打ち明けることへの恐怖、そして何より「見放されることへの恐れ」があるからです。
しかし、私は実際にリスケジュールを経験した元経営者として、一つだけ伝えたいことがあります。
リスケは特別なことではなく、資金繰り調整の一つの選択肢です。そして、リスケ承認は「ゴール」ではありません。
この記事では、リスケ後に10年間経営改善に取り組んだ私が、倒産してから振り返って気づいた教訓をお伝えします。
この記事でお伝えすること
この記事では、実際にリスケジュールを経験した元経営者として、以下をお伝えします。
- リスケジュールの正確な定義と、銀行が応じる判断基準
- リスケ交渉の具体的な手順と、稟議書を意識した書類の準備
- 【最重要】リスケ承認後の銀行は「最大の協力者」に変わる理由(承認した時点で、銀行はあなたを倒産させられない)
著者について
私は22年間、戦前創業の製造業を経営し、資金繰り調整のためにリスケジュールも経験しました。最終的には2025年に倒産という結果になりましたが、倒産してから振り返ると、リスケ交渉や銀行との関係について「あの時こうすればよかった」と気づくことが多くありました。
この記事では、当時は気づかなかったが今なら分かる、リスケと銀行活用の実態をお伝えします。
※注意:この記事は私の実体験に基づく情報提供であり、法的・財務的アドバイスではありません。個別の判断は必ず専門家(税理士、金融コンサルタント、弁護士)にご相談ください。
リスケジュール(返済猶予)とは何か
リスケの正確な定義
リスケジュール(reschedule)とは、既存の融資条件を変更し、返済スケジュールを見直すことです。
- 一般的なイメージ: 「倒産寸前の最終手段」
- 実際の定義: 資金繰りに合わせた返済条件の柔軟な調整
リスケの具体的なパターン
リスケには様々なパターンがあり、「元本返済ゼロ」だけではありません。
| パターン | 内容 | 実例 |
|---|---|---|
| 元本据え置き | 一定期間、元本返済をゼロにし、利息のみ支払う | 月々50万円の返済 → 利息2万円のみに変更 |
| 返済期間延長 | 返済期間を延ばし、月々の返済額を減額 | 残り3年を5年に延長 |
| 短期借入のローリング | 短期借入金(手形など)を期日に完済せず、実質的に借り換え | 1年満期の手形を継続更新 |
| 一部据え置き | 元本の一部のみ据え置き | 月々50万円を20万円に減額 |
重要:リスケの絶対条件
どのパターンでも、利息の支払いは必須条件です。利息すら支払えない状況は、銀行にとって「回収不能」と判断される可能性が高く、リスケではなく債務整理や法的整理を検討すべき段階です。
リスケのもう一つの大きなリスク
リスケに応じてもらった後は、追加融資はまず無理だと考えるべきです。それは他行でも同様です。
銀行間で情報は共有されており、リスケ中の企業への新規融資は極めて困難になります。リスケは「時間を稼ぐ」手段であり、その間に確実に経営を改善する必要があります。
私の経験: 私は1年短期の手形決済をローリング(継続更新)してもらうよう交渉しました。資料提出などで若干手間はかかりましたが、承認されました。もちろん、利息はきちんと支払い続けました。
リスケは「倒産」ではない
重要なのは、リスケは倒産のサインではなく、事業を継続するための健全な財務戦略の一つだということです。資金繰りの状況を冷静に分析し、能動的に銀行に働きかける姿勢こそが重要です。
銀行がリスケに応じる判断基準(私が経験から理解したこと)
倒産後に気づいた真実:リスケ承認は「見込みあり」の証明だった
ここが、倒産してから理解できたポイントです。
私の経験では、銀行がリスケに応じたということは、支店が本店に対して「この債権は回収可能性がある」と報告したということのようでした。
つまり(あくまで私の理解ですが):
- 銀行は完全には見放していない
- むしろ、倒産すると困る立場になった可能性がある
- 支店としても、本店に対して何らかの責任を負った
リスケ承認は、銀行が「リスクはあるが、見込みがあるから支援する」と決めた証拠なのです。
担当者から聞いた話:稟議書で重視される「3つのポイント」
当時、銀行の担当者との会話の中で、稟議を通すために重要だと言われたポイントがありました:
- 回収可能性:事業に改善の見込みがあるか
- 保全状況:担保や保証はどうなっているか
- 経営者の覚悟:本気で再建に取り組む意思があるか
これらは、私が実際に準備を求められた書類の内容からも、確かに重視されていると感じました。
リスケ交渉で最も重要だったこと
私の経験で最も重要だったのは、金融機関との長年の信頼関係でした。
リスケは書類や数字だけで判断されるものではなく、それまでの取引の歴史、経営者としての誠実さ、日頃のコミュニケーションが大きく影響すると感じました。
※注意:金融機関や時期、担当者によって対応は大きく異なります。この記事の内容はあくまで私個人の経験に基づくものです。
リスケ交渉の実践的な進め方(私の経験から)
タイミング:一般的に言われている注意点
一般的に、リスケ交渉では早めの相談が重要だと言われています。
一般的に言われているタイミングの目安:
| タイミング | 想定される反応 |
|---|---|
| 3ヶ月以上前 | 冷静な協議が可能と言われる |
| 1〜2ヶ月前 | かなり急な依頼。ギリギリのライン |
| 1ヶ月未満 | 無理な可能性が高い |
| 支払日直前 | 交渉は極めて困難 |
私の経験: 私の場合は比較的早めに相談できたため、すんなりと話が進みました。資金繰りが悪化する兆候が見えた段階で相談したことが良かったと思います。
ただし、タイミングや対応は金融機関との関係性や状況によって大きく異なると思われます。
交渉で避けた方がいいと言われている言葉
リスケ交渉に関する一般的な情報として、以下のような言葉は避けた方がいいとされています:
❌ 「たぶん、来月には売上が戻ります」 → 根拠のない希望的観測は、銀行側が判断材料にできない
❌ 「他の銀行も渋っていて…」 → 他行の対応を理由にすると、印象が悪くなる可能性
❌ 「とりあえず3ヶ月だけ…」 → その後の計画が不明確だと思われる
⭕ 一般的に望ましいとされる伝え方: 「現在の売上状況では、○月に資金ショートが見込まれます。□□の改善策を実行中ですが、効果が出るまで△ヶ月の返済猶予をお願いできないでしょうか。具体的な資金繰り表と改善計画をご説明します」
具体的な数字と計画を示すことが重要だと言われています。
私の場合: 私は幸い、このような失敗はせずに済みました。ただし、事前に完璧な準備をしていたわけではありません。むしろ、長年の信頼関係があったため、担当者がすぐに取り組んでくれて、資料は後から提出しました。
信頼関係の構築こそが、最も重要な「準備」だったのかもしれません。
リスケで一般的に求められる書類
一般的にリスケ交渉では、以下のような書類が必要とされることが多いようです:
| 書類 | 一般的な目的 | 確認されると言われているポイント |
|---|---|---|
| 資金繰り表 | 具体的な資金不足の証明 | いつ、いくら不足するか リスケ後に返済できる額 |
| 経営改善計画書 | 再建の道筋を示す | 売上回復の根拠 コスト削減の実現可能性 |
| 試算表(月次決算) | 現在の財務状況 | 現預金残高 負債の状況 |
私の場合: 私のケースでは資金繰り表や試算表などの資料提出は求められましたが、正式な経営改善計画書は要求されませんでした。ただし、口頭で今後の見通しや改善策については説明を求められました。
求められる書類は、金融機関や融資の規模、リスケの内容によって異なるようです。
「経営改善計画書」について(一般的な注意点)
経営改善計画書が求められる場合、一般的に以下のような点に注意が必要だと言われています:
NGとされる例(希望的観測): 「新規顧客の開拓により、半年後には売上が30%回復する見込みです」
望ましいとされる例(具体的根拠): 「A社との取引拡大(月額○万円増、発注書のコピー添付)、不採算部門Bの撤退による固定費△万円削減(内訳:人件費□万円、家賃◇万円の削減済み)により、6ヶ月後には月次黒字化を目指します」
一般的に言われていること: 銀行担当者は「稟議書に書ける具体的な根拠」を求めているとされます。希望ではなく、できるだけ事実と数字で示すことが重要だとされています。
※注意:上記は一般的な情報です。実際の計画書作成は、税理士や財務コンサルタントなど専門家の助言を受けることを強くお勧めします。
【最重要】リスケ承認後の銀行活用法(倒産後に気づいた最大の後悔)
リスケ後の10年間で気づいたこと
リスケに応じてもらってから、私は10年ほど経営の改善に取り組んでいきました。力及ばず残念ながら倒産してしまいましたが、その間、銀行には色々と支援していただいたと思っています。
それでも尚、もっと取り組むことができたのではないかと考えています。
リスケに応じた銀行は、あなたが倒産したら困る立場になっていました。
当時は気づきませんでしたが、今振り返ると:
- 本店に「回収見込みあり」と報告した責任がある
- あなたが倒産すると、支店の評価が下がる
- 稟議書で「支援する」と決めた以上、できる範囲で協力する動機がある
私が気づかなかった「お金以外の銀行の使い方」
当時の私の間違った認識: 「リスケしてもらったんだから、もう銀行には何も頼めない」 「追加融資は絶対無理だし、これ以上迷惑かけられない」
倒産後に気づいた真実: 追加融資は確かに難しいですが、お金以外の支援は引き出せた可能性が高かったのです。
銀行が協力する「動機」
銀行がリスケに応じた後、協力する動機は明確です:
- 稟議書の責任:本店に「この会社は再生できる」と報告した手前、その判断が正しかったと証明したい
- 支店の評価:あなたの会社を成功事例にできれば、支店や担当者の評価が上がる
- 損失の回避:倒産されると損失が確定する。何とか回復してほしい
つまり、銀行はあなたの成功を望んでいるのです。
活用できた「お金以外の支援」
私が当時活用すべきだったのは、以下のような支援です:
取引先・販路の紹介 銀行は様々な業種の顧客を抱えています。改善計画に合う「販路」や「仕入先」を紹介してもらえた可能性があります。
経営アドバイス 経営改善計画の内容について、より専門的・客観的な視点からのアドバイス(コスト削減、組織改革など)を求めることができたかもしれません。
専門家の紹介 再建に強い税理士や金融コンサルタントを、銀行ネットワークの中から紹介してもらえた可能性があります。
私の後悔:萎縮してしまっていた
倒産後に振り返ると、私は銀行に対して必要以上に萎縮していたと思います。
やはり生殺与奪の剣を持っている相手です。 担当者は定期的に「何か困っていることはないですか」と声をかけてくれていましたが、私は必要最小限の報告しかしませんでした。
あれは社交辞令ではなく、本当に「協力したい」というサインだったのかもしれません。もっと率直に相談していれば、違う結果になっていたのかもしれないと、今でも考えることがあります。
まとめ:リスケ後の銀行を「最大の協力者」に変える
リスケは倒産への一歩ではなく、事業再生のための強力なスタートラインです。
最大の教訓は、銀行を敵視せず、彼らのルール(稟議書の内情)を知り、承認後は彼らを「最大の協力者」として最大限に活用することです。
資金繰りの不安に立ち向かい、リスケという局面を乗り越えたあなたは、すでに「再建への覚悟」を銀行に証明しています。このチャンスを活かし、銀行に積極的に経営相談を仕掛けてください。
行動指針
リスケ承認後は、以下を意識してください:
- 定期的に銀行に経営状況を報告する
- 困りごとがあれば、積極的に相談する
- 「販路」「専門家」「アドバイス」など、お金以外の支援を求める
- 改善計画の進捗を共有し、銀行を「味方」として巻き込む
リスケ後の具体的な経営改善計画の実行と、専門家(税理士、金融コンサルタント、弁護士)への継続的な相談を強くお勧めします。
あなたには、銀行を味方につける戦略があります。
※再度のお願い:この記事は私の実体験に基づく情報提供であり、法的・財務的アドバイスではありません。個別の判断は必ず専門家にご相談ください。
資金繰りの選択肢を知っておくことの大切さ
経営の現場で資金繰りに悩んだ経験から、改めて思うのは「もっと早く選択肢を知っておけば」ということです。
私は当時、ファクタリングという仕組みをよく知らず、結果的にクレジットカードのキャッシングに頼ってしまいました。
もしその時に今の知識があれば、違う選択をしていたかもしれません。
もちろん、ファクタリングが万能の解決策ではありませんし、手数料も決して安くありません。しかし「選択肢として知っておく」ことは重要だと思います。
同じように資金繰りで悩む経営者の方に向けて、私が後から調べた情報をまとめた記事があります:
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⚠️ これらの記事も専門家の監修は受けていません。利用を検討される場合は、必ず税理士・会計士等の専門家にご相談ください。


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