倒産後の社長の会社出入り:その実態と心の葛藤

倒産後の会社出入り 破産手続き 社長のメンタル 会社倒産時の実務

会社が破産したら、社長ですら自由に会社に出入りできなくなるの? そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。今回は、倒産後に会社に出入りする実態と、その時に感じた心の動きを、私の経験をもとに赤裸々にお話しします。あくまで一人の元経営者の視点ですので、その点をご理解いただければ幸いです。

結論:会社への出入りは自由、でも簡単じゃない

破産手続きが始まっても、社長が会社に出入りすることは可能です。私の場合、破産開始決定後、約2ヶ月間は週3〜4回、会社に通っていました。管財人が資産や負債を整理するために必要な書類を探したり、パソコンのデータだけでは足りない情報を補うためです。

私は販売管理や会計、給与計算用のパソコンを自宅に持ち帰っていたので、書類整理の一部は自宅で対応できました。それでも、会社に足を運ぶ必要は頻繁にありました。

引き出しの中の書類、金庫の資料、細かなメモまで、管財人の調査に必要なものを一つひとつ探し出すのは、想像以上に骨の折れる作業でした。

しかし、会社に通うのが大変だった理由は、単に作業量の多さだけではありません。大きく2つの壁がありました。移動手段の制約とメンタルの重圧です。

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移動手段の壁:娘のお下がりの自転車

破産すると、会社名義の資産はすべて管財人の管理下に置かれます。私の場合、それまで使っていた会社名義の車も使えなくなりました。自己破産を視野に入れていたので、個人で車を持つことも現実的ではありませんでした。

管財人からは「家族名義で車を安く譲り受ける方法もある」と提案されましたが、維持費を考えると現実的ではなく、丁重にお断りしました。

結局、移動手段は娘のお下がりの自転車。会社まで片道40〜50分、雨が降れば出かけることすらできません。気軽に「ちょっと会社に行ってくる」とは言えない距離と状況が、私の足を重くしました。

メンタルの壁:負い目と恐怖心

もっと辛かったのは、心の負担です。破産情報が広まると、会社の様子を見に来る人が後を絶ちません。取引先、元従業員、近隣の人々…。私はそんな人たちと顔を合わせるのが怖かった。

営業停止直後は、夕方や夜、人が少ない時間を見計らって会社に忍び込むように通いました。

会社にいる間は、電気を消し、カーテンを閉め、外から見えないように細心の注意を払いました。会社の前に車が停まる音が聞こえるたび、「誰か来た?」と心臓が跳ね上がり、ビクビクしながら過ごす日々。

鍵がガチャガチャと動く音がすれば、「襲われるのでは?」とさえ思いました。

この恐怖心の根底には、社会的な負い目がありました。かつては毎日当たり前に通っていた会社なのに、破産後はそこにいること自体が罪悪感や不安を呼び起こす。

誰かに見られているのではないか、批判されているのではないか。そんな思いが頭を離れませんでした。

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少しずつ変わる状況と心

時間が経つにつれ、状況は少しずつ変化しました。不動産の処理を担当する仲介業者が決まり、商品の処分方法も固まると、会社にはさまざまな人が出入りするようになりました。

最初はこっそり通っていた私も、次第に「隠れる」必要がなくなっていきました。それでも、ひとりで会社にいるとき、突然の訪問者にドキッとすることは少なくありませんでした。

破産は本当に「悪」でしかありません。 かつての日常だった「会社に行く」という行為が、こんなにも不便で心をすり減らすものになるとは想像もしていませんでした。

最後に:あなたの参考になりませんように

倒産後の会社への出入りは、物理的にも精神的にも簡単ではありません。それでも、必要な作業を進めるために、私は自転車を漕ぎ続けました。この経験が、皆さんの参考になるような状況が訪れないことを心から願っています。

少しだけ、自分を労わる時間に。
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