—— 元経営者が語るリアルな流れ・落とし穴・準備すべきこと
免責事項
この記事は、筆者(元経営者)の実体験に基づく記録です。法的な判断や手続きの詳細は個別の事情により異なるため、必ず担当の弁護士にご確認ください。弁護士には相談しづらい「生活の裏技」や「実務の困りごと」を、当事者の視点から記録しています。
倒産や破産の手続きは、弁護士や裁判所が中心になります。
しかし、実際にその渦中にいるのは「社長本人」です。
私は会社を破産させ、自身も自己破産手続きを経験しました。
その過程で強く感じたのは、
破産手続きは”知らない”と損をする。
そして”よく知っている”と冷静になれる。
ということです。
この記事では、あなたが不安に押しつぶされないよう
破産・倒産手続きの全体像を「実務」と「体験談」の両面から一気に整理します。
「倒産」と「破産」の違い
まず最初に、この2つの違いを理解しておく必要があります。
■ 倒産=会社が経営できなくなること
倒産とは”経営が行き詰まった状態”の総称であり、
法的手続きのことではありません。
■ 破産=裁判所に申し立てる法律上の手続き
倒産したからといって、必ず破産するわけではありません。
廃業や特別清算という選択肢もあります。
▶ 関連記事:【体験談】「倒産」と「破産」の違い|社長の実体験で分かった事
弁護士への相談〜申立て準備
破産手続きのスタートは、弁護士への相談です。
■ 弁護士に依頼すると何が起こるか
- 債権者からの督促が止まる
- 社長名義の資産移動が制限される
- 裁判所に出す書類の準備が始まる
私はこのタイミングで「自分の生活が大きく変わる」ことを実感しました。
▶ 関連記事:【体験談】会社破産でも督促状は3通|弁護士の初動が止めた
■ 書類の量に驚く
とくに大変なのは、源泉徴収票・離職票・売掛金の管理など。
倒産直後の混乱の中で、これらを揃えるのは骨が折れます。
▶ 関連記事:【実務解説】倒産時の離職票作成|10日期限を守る手順と注意点
▶ 関連記事:【体験談】倒産時の源泉徴収票作成|未払賃金の扱いで陥った失敗
同時廃止か?管財事件か?
裁判所は提出された資料をもとに
「そのまま手続き終了か(同時廃止)」「管財事件として調査を続けるか」
を決めます。
■ 管財事件になる主な理由
私のケースを含め、多くの場合で以下が理由になります:
- 資産が一定額以上ある
- 取引が複雑
- 過去の取引に疑問点がある
- 書類や説明が不足している
私は管財人がつく「管財事件」になり、
自己破産の管財人も同じ弁護士が担当することになりました。
▶ 関連記事:【体験談】自己破産の管財人面談|半年が1年に延長した理由
管財人面談のリアル
管財人は”破産手続きの監督官”のような立場で、
あなたの財産・取引・通帳・保険などを細かく確認します。
■ 面談で聞かれること
私が実際に聞かれた内容です:
- 破産に至った原因
- 債権者と売掛金について
- 会社の資産の状況
- 従業員に関すること
- 個人の財産と生活費について
- 保険・投資の状況
特に資産関係では、会社の債務と売掛金・現在の現金・不動産などの資産状況・個人については預貯金などが重点的にチェックされました。
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債権者集会
「債権者集会」と聞くと、
「詰問されるのでは?」と不安になる方が多いですが——
実際は5〜10分で終わることがほとんどです。
私も最初は震えましたが、
実際には質問ゼロで、拍子抜けでした。
■ 債権者集会の実態
- 債権者は来ないか少ないことが多い
- 管財人が報告して終了
- 特に問題がなければすぐ閉会
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手続き中に起こる”実務トラブル”
破産手続き中は、法律ではなく生活の実務で苦しみます。
■ よくある困りごと
- 電気・水道・ガスはいつ止まる?
- 従業員の書類が揃わない
- 賃金や解雇予告手当の処理
- 売掛金の管理が残っている
- 動産担保を設定していた時の手続き
これはどれも私が実際に苦しんだテーマです。
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銀行口座・キャッシュの扱い
破産が決まると、銀行の対応は厳格になります。
■ 口座が凍結されるタイミング
私の場合は、営業停止の直前に予納金を捻出する資金対策をしており、
順調に破産手続きに進むことが出来ました。
個人の口座については、自動車ローンがあった口座を凍結されました。
▶ 関連記事:【体験談】破産手続き最後の資金移動|予納金捻出と銀行凍結リスク
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メンタルの落ち込みと再起
破産手続きは”生活”と”心”に大きなダメージを与えます。
- 誰とも話したくない
- 家族にも言いづらい
- 外出できない
- SNSすら開けない
- 将来を考えると眠れない
私はしばらく「誰とも会いたくない」時期を過ごしました。
しかし、時間が経つと
少しずつ、仕事に戻る力が湧いてくるものです。
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よくある質問(FAQ)
Q. 年金は守られますか?
私のケースでは、年金は全額守られました。
ただし、個別の事情により異なる場合があります。
▶ 関連記事:【体験談】自己破産しても年金は守られる|繰上げ受給と注意点
Q. 自宅は没収されますか?
住宅ローンの有無や状況によって異なります。
私の場合は家族や親戚の協力で残すことが出来ました。
▶ 関連記事:【体験談】会社倒産で自宅はどうなる?|社長の力だけでは残せない
Q. クレカはいつ止まりますか?
私の場合は、破産申立から数日以内でした。
多くのケースで同様の傾向があるようです。
▶ 関連記事:【体験談】自己破産でクレカはいつ停止?|デビットカード切替の実録
Q. 破産後、会社に出入りできますか?
法的には可能とされていますが、
私の場合は精神的な壁があり、実際には隠れるように通いました。
▶ 関連記事:【体験談】破産後の会社への出入りは可能?|法的事実と心の壁
Q. 破産告知の貼り紙は義務?
法的に必須ではありませんが、タイミングは重要です。
実務的な観点からの解説をまとめています。
▶ 関連記事:【実務解説】破産告知の貼り紙は義務?|掲示のタイミングと目的
まとめ:破産手続きで一番大切なもの
破産は”終わり”ではありません。
むしろ、終わらせるための手続きです。
私が痛感したのは、
知らないことで損をし、知ることで救われる
という事実です。
この記事は、破産手続きの全体像を理解し、
あなたが冷静に次のステップに進むための「地図」になるはずです。
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✍️ 著者からのメッセージ
この記事は、私が実際に経験した破産手続きのすべてを詰め込みました。
弁護士には聞けない「社長の実務の困りごと」も、
裁判所では教えてくれない「メンタルの落ち込み」も、
すべてここに書きました。
あなたの不安が、少しでも軽くなることを願っています。

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